第8話 お互い破滅したくなければ
だが高校生となってからは互いに部屋にあげていない。色々と昔とは意味合いが違って来る事や
いつもの登校でのやり取りが始まる。
「じゃあ今日はこないだから言ってた新作のゲーム、
アイテムを理由に
「あ!勝手に決めないで下さいっ。お兄ちゃんにも予定が……」
「いいよねっ、
「え……う、うん。まあね」
「ほら、いいって」
ムゥ~、また何をやり出すか分からないから私がお兄ちゃんの部屋を守らねば!
「俺、今日は選択授業の後で遅めになるからそれで良ければ」
「うん、大丈夫。今回のギャルゲーは凄く評判良いから進めずに待ってる」
そうこうしている内に校門に到着し、中等部の
「じゃあ、
うん。同行ありがとう、と言って別れて行った方を見ると
いいなあ。ずっと一緒に居れて……
―― ん! そーゆー事なら今日は早く帰らねば!
**
帰宅早々玄関には女の子の靴が。遅かったか! と、慌ただしく靴を脱ぎ捨てる
ただいま~、と急いで廊下に駆け上がる。母親の『おかえり』 の声がする。
「お母さん、誰か来てるの? ……(まあ誰かは知ってるけど)」
「ああ、薊ちゃんだよ。暫くここで世間話してたの。でもちょっとこの後に来客あって、そろそろ
イヤな予感を感じつつ足音を忍ばせ兄の部屋へ直行、いきなりドアを開けると
「ちょっと! 何してんのっ! ここは私と……あ、いや、お兄ちゃんのベッドに!」
「あはは~……おじゃましてますぅ、あ、イヤこれはちょっと癒しをですね……」
頭を掻いて弁解する薊、急いで部屋を見回す
「それに何か微妙に色々と物が動いてる!」
ギクッと硬直する薊。冷や汗がタラリとコメカミを伝う。
「まさか、お兄ちゃんのプライベートを覗こうとしてたんじゃ……」
「え……いや、だって彼女としては彼氏のそっち系の好みとか知ってた方が……」
「まだ付き合ってるなんて聞いて無いんですけど! 勝手に彼女にならないで下さい!」
「まあ、事実上……ていうか、も―だからもっと深い所まで知りたいの! いーでしょ、お兄さんの恋路に首を突っ込んで来るなんてそっちこそ妹としてナンセンス!」
「だからって本棚の奥とかベッドの下とかマットレスの下とかまではダメです~!」
肩をすくめ、ちょ、何で判ったの、と顔を真っ赤にしてたじろぐ薊。
「やっぱり。私はいつもお片付けまでやってるからミリ単位で分かるんです!」
「そんな事までやってるの?! メイドかっ!」
だが
「まあ几帳面だからその前に片付いちゃってるんだけど………」
「……って実はスミレも荒らしてるだけなんじゃないの?」
「ち、ちがいます!……てか、この事お兄ちゃんに言いますよ」
軽蔑の眼差しと斜に構え腕組みの
「ちょちょちょちょっと待って! それだけはお願い」
「んーどーしようかなぁー。次からはもう部屋に来ないって誓ったら考えてもいいかなー」
「ヒドイ! あんなに性格良かったのに! どうせ何も出て来なかったんだから見逃してくれてもいいじゃない!」
「ダメですっ! 第一慎重なお兄ちゃんは昔一度だけ本棚の奥に隠してたのを偶然私に見つかって以来、もう絶対にバレない様にうまく隠してるんだからね」
「上手く? 何でスミレが知ってんの? あ、自分の方が知ってるヅラしたいんでしょ!」
「ち、違います―っ! 嘘じゃないです~! 今はPCの奥の奥の奥の奥の超々深い階層のフォルダの中に沢山のファイルとリンク集を保存してるんですから!!
なめないでっ!お兄ちゃんの事なら何でも知ってるんだからっ!」
「えっ……。ふーん。そ~んな事まで知ってるんだぁ。じゃ、それが本当か
「はうっっっ!」
「フ……これでおあいこね。お互い破滅したくなければここは休戦協定を結びましょう」
うう~……と呻きをもらす
「おかえり、薊ちゃんもう来てるわよ。部屋に通ってもらったから」
「そっか」と言ってゆっくり階段を上がってくる足音。慌てて2人で片付ける。
「おかえりお兄ちゃん」
「おじゃましてます」
あ、もう始めてた? と、柔らかな表情でカバンを片付ける
「ううん、ちょっと話に盛り上がってたところ」
「ふふ。何だかんだで仲いいね。(……と言うかそうであってくれ! )」
「え……そ、そうね。じゃ、ゲーム始めよっか。スミレちゃんは興味無いよね」
「あー私もやりたい~。見てるだけでもいいから~」
なっ……どこの小学生よっ……彼女候補が来てるんだから遠慮しなさいよ。このハイパーブラコン!
「まあ、こう言ってるし
不満げにスミレを横睨みの薊。薊を見る
「えー……ま、まあね……(やっぱこうなったか)」
とは言え三人で結構楽しく遊んだのだった。ただこの面子ではよくある日常の光景だった。
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