妹のままでいさせて
深宙 啓 (Kei misora)
第一章 【序】目覚め
第1話 プロローグ
▼扉絵
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093086483790323
▼口絵:
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093089341683274
(まえがき)
この物語は主人公の
彼らが何を思い、それにより何を行動したかを描きたかったものなので、モノローグが非常に多い作品なのです。
(基本的に拙作はどれもその傾向が強いのですが、当作は特に顕著です)
そして当作は兄妹のダブル主人公の物語として描かれました。 そうした小説の場合、正式には章ごとに、あるいはweb小説なら少なくともエピソードごとに主人公のside(視点)を宣言の上、固定して語る必要があるのですが、それだとそれぞれがタイムリーにどう想ったかの表現が困難です。
(その点、マンガは楽ですね)
なので、ここはセオリーを無視して両sideを混在させて語っている事を先にお知らせしておきます。(端的に言えばほぼルール無視なのでご了承下さい。所詮ラノベですから)
おそらく誰のモノローグか分かりづらい事はないという自信はあります。
とは言え、出来るだけモノローグが誰のものか分かるように『◯◯が思った』等の前置きを入れるように心がけましたが、それ故かったるい語り口になっている事と思います。これもご承知おきを。
見所は主人公の一人、『妹』の想いが一途すぎて、メンヘラギャグを狙っていない作品にもかかわらず公募の審査員からは『怖さすら覚えた』とまで言わせたほど愛が重いです。(今風に言えばクソデカ感情?)
果たして皆さんはどの様に思われるか……その反応が興味深くてコメ欄を再開しました。よろしければ揶揄でも嘲りでも構わないので、思ったコトを好き勝手をコメ欄やレビューにでも書き込んで貰えたら。
更に紹介文でも書いた、この作品タイトル『妹のままでいさせて』―――が主人公のセリフとして作中5回現れます。ところが5回ともその時々で異なった意味での心の声となっていて、その違いをこの少女になったつもりで噛み締めて貰うのが、この小説を味わう醍醐味の一つかと思います。
また、通底するテーマを表す音楽が幾つかのシーンを飾ったり、それが重要なテーマそのものになっているエピソードなどがあるので、そう言った意味でこの小説を少しばかり音楽ノベルとして位置づけてもいます。
参考に曲のリンクを張っておきますので理解を深めるために興味があればそちらも辿ってみて下さい。
――――これは主人公の少女の『死への願望に抗いながら生きる』という謎を解き明かしながら、懸命に誰かを想うことに只ひたすら愚直に、しかし真摯に向き合ったとある少女の物語。
それでは、前半はコミカルと微ミステリー中心に、後半は微ファンタジーとシリアスなジェットコースタードラマのように描かれた、あまり類のないこの物語をお楽しみ下さい。
▼扉絵
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093086195273968
❁ ❁ ❁ 本文 ❁ ❁ ❁
もしも身近に一生を誓い合った唯一無二の人が居たとして。
当然結ばれると信じて生きて来て。
それがある日、意識した時に……
そう、例えば今この瞬間、兄妹だったと知ったら……
―――その時、あなたはその想いを諦められますか?
◆◇◆
いつもの朝。
「はい、お兄ちゃんの大好きなロイヤルミルクティー。今日は特別に茶葉多め、ミルクも特濃タイプだよ」
「それは嬉しいな。
そう言われて微笑みながら頷く妹。そして優しい眼差しで兄を見ながら想う。
このはにかんだ笑顔がただ見たくて――――
深く優しい人。そう書いて
その名の通り、とってもとっても優しい人なのです。1歳年下の中3の私と、そして私より3歳年下・小6の蘭ちゃんをスッゴク可愛がってくれるのです。
「はい、パンが焼けたよ。あ、バターは塗っといたから。それとハイッ、ハチミツ、あ~、あとヨーグルトと食後のフルーツも出しとくね」
極ありふれた収入世帯の一家。ありふれた朝食。ただ普通と違うのは、まるで子を溺愛する母のごとく甲斐甲斐しく兄の分まで給仕する妹達の存在。
兄・
「お姉ちゃんばっかズル~い! ハイ、
小6の妹・
「全くお姉ちゃんの『お兄愛』は行き過ぎなんだから!」
「フフ。今さら何言ってるの? それに蘭ちゃんだってそうじゃん」
クスッ、蘭ちゃんたら張り合っちゃってカワイイ。まあ確かに私のお兄愛はチョットね。……にしても……
『愛』って、何ですか?―――
なーんてそれを求めて彷徨う少女の名作アニメがあるよね。私達も大好きな……。
ともあれ、そんなの私も分かりませ~ん。お兄ちゃん、教えて下さい……なんちゃって。
そうした妙な事をしばしば考えつつ、優しげで愛らしい笑顔を絶やさずに兄をぼぉっと見つめて食事をする
……でも愛なんて、確かに分からない。―――だって私達、普通じゃないから。
「あの……お兄ちゃん、今日も大丈夫かな?」
「もちろん」
遠慮がちに一緒に登校する約束を確認する。
……そう、私にとってこの人は、かなり『普通と違った意味』で特別な人なのです。
だって、この人を失ったら、私は存在が消えてしまうのです。
―――間違いなく、文字通りに。
ああ、昨日も例の夢を少し見た。私はいずれあの夢に命を奪われると予感している。でも今はまだ、消えたくはないのです。消える訳にもいかないのです……
そんな風に想いながら少し瞳を曇らせる
だからお兄ちゃん、いつかその日が来てしまう迄は、せめていつも私の事、見ていて貰えますか……
そしてもし奇跡が起きて、消えずに済む道があるのなら、どうか神様、どんな目に遭ってもいいから教えてください。
ぁ、ヤバ……また変な目で見てたの気付かれたかな……。お兄ちゃんは決して口には出さないケドこんな私の事、『ヘンタイ』 とかって思ってるに違いない。だってそんな目をしてる時がある。
まぁ、別にいいけどね。いや、良くないか……フフフ。
: + ゜゜ +: 。 .。: + ゜ ゜゜ +:。. 。
それでもいつでもちゃんと見守り続けてくれる兄。そのお陰でこんな特殊な私でも『生きる事』を選べた。
互いを大切にするあの約束と共に、絆を深めて―――。
でも恋の季節が淡い想いのままを許さず、全てを変えて行ってしまう事に、この時の私達はまだ何も気付いていなかった。
: + ゜゜ +: 。 .。: + ゜ ゜゜ +:。. 。
これは、優しい兄と、そして少しオタクで可愛くて一途でアブノーマルな妹の、奇妙で深い愛の物語。
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《後書き》
推奨イメージソング 『
https://youtu.be/V0xSlwow9rQ?si=WWtTQbDtRBBjrf-D
※きっとこの小説を読み終われば激しく同意いただけるかと思います。
歌詞が余りにも二人の主人公のそのままを表しているからです。
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