黒百合からヘリオトロープへひとつの嘘を
立花あおい
プロローグ
第1話
花瓶には一輪の黒百合。
誰かが、柔らかい手付きで水を注ぐ。
それは命を貰い、もう一度瑞々しく咲き還る。
その鐘状の毒々しい花は、風に吹かれればゆらゆら揺れる。
蝿を呼ぶほどの悪臭を放ち、季節を吸い込めば立ち枯れる。
その名と形姿からは誤解を生むが、それはユリ目ユリ科バイモ属に分類され、白百合を始めとしたユリ属の花々とは異なる種の花である。
黒百合の花言葉。
それは、恋。
それは、呪い。
それは、復讐。
これは復讐を誓った少年が、様々な人々との出会いと別れを繰り返し、そして、聖騎士と成るまでの物語。
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