【毎日17時投稿】5人の勇者が語る魔王討伐の真実――だが、誰も本当のことを言っていなかった。転生した名探偵たちが異世界の謎に挑む!

湊 町(みなと まち)

第1話 異世界への召喚

王国の広間は荘厳な石造りの建物で、天井は高く、壁には古いタペストリーが幾重にも飾られていた。中央には王座があり、その王座に座る壮年の王は威厳に満ちた表情で、8人の異質な人物を見つめていた。彼らは突然この世界に引き寄せられ、事態が理解できていないような表情を浮かべている。


召喚されたのは、世界中で名を轟かせた8人の名探偵。彼らは元いた世界から急にこの場所に引き寄せられ、今まさに、異世界に転生したことを理解し始めていた。王の隣には、白髪の老賢者が立ち、彼がこの召喚の儀式を執り行った張本人であることがわかる。名探偵たちは互いに顔を見合わせながら、自分たちの置かれた状況を一瞬で察知する。


「皆さん、ようこそ我が王国へ――」

王が重々しい声で言葉を発する。

「あなた方は、我が国の最も重要な謎を解き明かすために異世界から召喚されました。勇者たちが魔王を倒したと言われていますが、その真実には多くの謎が残されているのです。そして、我が王国はその謎を解き明かすために、知恵を持った者たちを必要としています。」


シャーロック・ホームズは、冷静に王の言葉を聞きながら、その口調や身振りからこの王が真実を語っているかどうかを即座に判断しようとしていた。彼は異世界の概念や魔法には懐疑的であったが、すでにこの世界に召喚されたという事実を受け入れつつあった。隣に立つエルキュール・ポアロは、眉をひそめながら、周囲の様子を観察している。異世界であっても、貴族社会の緊張感や政治的な駆け引きがあることは彼にも理解できた。


「我々は転生したわけか……興味深い。」

ホームズが小声で呟く。


コロンボは、いつものくたびれた姿で、頭を掻きながら困惑したように周囲を見回している。彼はまだ状況を完全に理解していない様子だったが、ふとした瞬間に老賢者を見つめ、その目に興味を示した。「ちょっとお聞きしていいですか?」と問いかけるが、王は続ける。


「この異世界には5人の勇者が存在し、彼らが魔王を倒したとされています。しかし、誰が本当の英雄であり、誰が嘘をついているのか、それは未だに定かではないのです。私たちは、この謎を解明するためにあなた方を召喚しました。」


名探偵たちは無言でその言葉を聞いていた。ポアロは口元に手を当て、じっくりと王の説明を咀嚼していた。一方、明智小五郎は召喚の瞬間からこの世界の空気を読み取り、この世界における力の構造や政治的な陰謀に早くも気を配っていた。


「5人の勇者……」

明智が静かに呟く。「それぞれが自分を英雄だと名乗っているのですね。」


「そうです。しかし、勇者たちは互いに自分こそが魔王を倒したと主張しており、真実を隠している可能性があります。我が国は真実を求めており、あなた方の知恵に頼らざるを得ないのです。」


ホームズは眉を上げ、少し興味を引かれた様子で王に近づいた。「興味深い提案だ。だが、勇者たちが嘘をついている証拠はあるのか? 彼らの証言が矛盾している点について、あなたはどのようにして知ったのか?」


王は少し困惑した表情を浮かべ、老賢者が代わりに口を開いた。「勇者たちの話には不自然な点がいくつもあります。討伐の日の出来事や、彼らの戦果の詳細についての証言が一致していないのです。また、一部の者が討伐に関与していない可能性すらあります。」


その言葉を聞いて、名探偵たちの間に緊張が走る。これが単なる英雄譚ではなく、何か深い陰謀が潜んでいることを悟ったのだ。


「それで、その勇者たちはどこに?」

コロンボが肩をすくめながら尋ねた。


「王城内におります。皆さんにはまず、彼らに会っていただきたい。そして、調査を始めるのです。」

王はそう言うと、召喚された探偵たちに一礼をし、話を締めくくった。


それぞれの名探偵が思い思いに考えを巡らせる中、8人はまるで運命の糸に導かれるかのように、勇者たちの真実を暴くために立ち上がった。この異世界で、誰が本当に魔王を倒したのか――そして、なぜその真実を隠す必要があるのか。探偵たちの異世界での物語が、いま始まろうとしていた。

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