第7話 畑の拡張と街のさらなる発展
俺は決断した。目の前に広がる土地は、門という未知の存在に近い場所ではあるが、活用しない手はない。ここを街の人々と一緒に開拓し、より豊かな生活を築いていく。それが俺の新たな目標になった。
「さて、やるか。」
街の住民たちに相談すると、みんながこのアイデアに賛同してくれた。門の不安は残るが、それを逆手に取って豊かな資源を得られれば、街の繁栄に繋がるという発想は、皆にとっても魅力的だった。
こうして、新しい畑作りが始まった。土を耕し、果樹園から持ってきた苗木を植え、農作物を育てる準備が整った。この場所には風が通り抜け、日の光がたっぷりと降り注ぐ。作物を育てるにはもってこいの環境だ。
「ここで育てた野菜や果物は、街の食卓に並ぶんだ。そう考えると、やりがいがあるな。」
俺は鍬を手にし、周りで作業する人々と共に畑を耕していった。土の感触が手に伝わり、汗が額に浮かぶ。戦いから解放されたこの穏やかな生活が、俺の中にじわじわと根付いていく。
数週間も経つと、門の近くに新しい畑や果樹園が広がってきた。野菜の苗が緑に染まり、果実も少しずつ実をつけ始めている。人々は笑顔で作物の成長を見守り、子どもたちも一緒になって水やりを手伝ってくれた。
「いい感じに育ってるな。」
畑の様子を見ながら、俺は満足感に浸っていた。この街は確実に豊かになってきている。食べ物が充実すれば、人々の生活も安定し、街全体の活気がさらに増していく。
そして、門が存在する場所をどう活用するかについても、新たなアイデアが浮かび上がってきた。
「ここに、野菜や果物の市場を作るっていうのはどうだろう?」
俺は住民たちに提案した。畑で育てた新鮮な作物をすぐに売買できる場所があれば、街全体の交流も増えるし、さらなる発展のきっかけになるはずだ。
「それはいい!新鮮な野菜や果物を買いに、近隣の村からも人が集まってくるだろう。」
住民たちもこのアイデアに賛同してくれた。新しい市場ができれば、街はもっと賑やかになり、人々の生活もより豊かになるだろう。門の存在が不安材料ではなく、街を発展させるチャンスに変わっていく瞬間だった。
---
俺の声に応え、街のみんなが動き始めた。門の周辺に広がる畑で取れた野菜や果物を売り買いできる市場を作ることは、街をもっと豊かにし、人々の交流を促す絶好のチャンスだった。
畑で採れたばかりの新鮮な野菜や果物を売るための屋台や、手作りの雑貨を並べるための露店がどんどん設置されていく。門の不気味さは少し残っているが、活気にあふれる市場がその雰囲気を覆い隠していくように感じた。
「これで、もっと人々が集まってくるだろうな。」
俺は市場の中心で、手作りの木製ベンチに座りながら街の様子を見渡した。門のすぐそばに賑やかな露店が並び、あちこちで人々が楽しそうに話しながら新鮮な野菜や果物を買っている。スローライフの象徴とも言える、平和で充実した日常がここにあった。
「お兄さん!リンゴがいっぱい採れたよ!」
子どもたちが果樹園で収穫したばかりのリンゴを両手に抱えながら駆け寄ってくる。俺は笑顔でそれを受け取り、屋台に並べた。甘い香りが漂い、すぐに多くの人々が集まり始めた。
「これ、いいリンゴだね!どこで作ったの?」
「俺たちの果樹園でさ。甘くて美味しいから、ぜひ買っていってくれ!」
俺は自慢げにリンゴを差し出し、買い物客たちも笑顔で手に取ってくれた。市場はどんどん賑わいを増し、街には活気が満ち溢れていた。
それだけではなく、近隣の村々からも人々が集まり始めた。この新しい市場でしか手に入らない品々や、街の特産品を求めて、多くの商人や旅人が足を運んでくれるようになった。
「この街、すごく活気があるね。まさかこんな素晴らしい市場ができるなんて。」
旅人たちの声が聞こえてくる。俺たちが作り上げたこの場所が、広がり、成長していくのを目の当たりにして、胸の中が誇らしさでいっぱいになった。
「市場を作って正解だったな…」
俺は果物の箱を持ちながら、周りの様子を見渡す。この平和な日常が長く続くことを願ってやまないが、門の存在が不安を消し去ったわけではない。それでも、今この瞬間は、皆と一緒にこのスローライフを楽しむことが大事だと感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます