第5話 新たな日常

エイリアンとの激しい戦いが終わり、街には静寂が戻った。荒れ果てた建物や瓦礫が広がっていたが、生き残った人々は徐々に顔を上げ、再び立ち上がろうとしていた。俺もその一員として、街の再建に力を貸すことに決めた。


「さあ、やるぞ!」


人々と共に、壊れた家を直し、道路を整備し、倒れた木々を片付ける。意外だったのは、こうした地味な作業が、妙に心地よく感じられることだった。戦いに明け暮れていた日々とは全く違い、静かで平和な時間が流れていた。


朝日が昇ると、俺は毎日の日課である水汲みや木材運びを始める。手に残る木の温かさや、風に揺れる草の音が心を落ち着かせてくれた。


「こんな風に、穏やかな生活も悪くないな…」


俺はふとそう思った。かつては戦いと危機感に満ちた日々を送っていたが、今は一日がゆっくりと流れる。朝、目を覚ますと、空には青い空が広がっていて、鳥たちが鳴き、風が穏やかに吹いている。


そんなある日、俺は村の集会に呼ばれた。街の復興に向けた計画を話し合う場だ。


「このあたりの農地をもう少し広げようか」「新しい学校を作りたいわ」など、皆がそれぞれの希望を口にしている。俺もまた、今できることに対して積極的に意見を出すようになっていた。


「この場所に果樹園を作ったらどうだ?きっとみんなの癒しになるはずだ。」


「それはいいね!果樹園なら子どもたちも手伝えるし、収穫の喜びもある。」


そんな会話が街中で飛び交い、少しずつだが街の雰囲気が活気を取り戻してきたのを感じる。あの激しい戦いが嘘のように、今は誰もが微笑み合い、協力して日々の暮らしを築いている。


夕方になると、村の小さな広場で人々が集まり、ささやかなパーティーが開かれることもあった。手作りの料理が並び、歌や踊りが始まる。そんな風景を見ながら、俺は心の底から穏やかな気持ちになっていた。


「これが、俺の新しい生活か…」


もちろん、また危機が訪れるかもしれない。その時には、俺の力を使って街を守らなければならないだろう。でも、今この瞬間は、このスローライフを楽しんでいいのかもしれない。何も焦らず、ゆっくりと時間を過ごす。それが今の俺には必要なことだと感じた。


---


俺は心の中で決意した。この街での穏やかなスローライフを続け、人々と一緒にこの場所をより豊かで、平和な場所にすることが俺の使命なんだと感じていた。戦いに明け暮れた日々から解放され、今は土を耕し、木を植え、街の人々と共に新しい生活を築いていく。


果樹園の計画はすぐに実行に移された。村の子どもたちや大人たちも一緒になって土を耕し、苗木を植えていく。最初は小さなスペースだったが、次第に広がり、街のシンボルとも言えるような場所になっていった。


「ここにリンゴの木を植えるよ。収穫までに少し時間がかかるけど、きっといい実がなるはずさ。」


俺は子どもたちに話しかけながら、苗木を植える手を休めることなく動かしていた。子どもたちは興味津々で、土を触ったり、水をまいたりして手伝ってくれる。彼らの笑顔を見ていると、心が自然と温かくなるのを感じた。


「それにしても、ここまで大きな果樹園になるとは思わなかったな…」


俺は街の広場から果樹園を見渡しながら呟いた。たくさんの木々が並び、風が吹くと青々とした葉がさらさらと音を立てる。収穫の時期には、きっと街中が新鮮な果物で満たされるだろう。人々は笑顔で、互いに助け合いながら日々を過ごしている。これ以上に幸せな日々があるだろうか。


夕暮れ時、村の人々と一緒に、手作りのベンチに腰掛けながら夕焼けを眺めることが日課になった。赤く染まる空を見上げながら、俺は静かに時間が過ぎていくのを感じていた。


「ねぇ、お兄さん。」


子どもたちが走り寄ってくる。街で作ったばかりの焼きたてのパンを手にして、俺に差し出してきた。


「これ、みんなで作ったんだよ!お兄さんも食べてみて!」


「おぉ、ありがとうな。お前らも立派に手伝えるようになったな!」


パンをかじると、ほんのりと甘い香りが広がった。街の人々が一緒になって作り上げた生活の味。そんなささやかな喜びが、俺にとって何よりの宝物だった。


街は日に日に豊かになっていった。果樹園の木々が育ち、収穫の季節が来るたびに人々の笑顔が増えていく。道も整備され、新しい家や学校もでき始めた。俺もまた、日々の生活に満足し、心から幸せを感じていた。


この街で過ごす穏やかな日々がずっと続くように——そう願いながら、俺は今日も果樹園で汗を流す。


---


平穏な日々が続いていた。しかし、ある日、少しだけ不穏な空気を感じるようになった。


それは、いつもの朝の果樹園での作業中のことだった。日差しが心地よく、風も穏やかで、何もかもが完璧な一日になりそうだった。だが、ふと気がつくと、遠くの空が何か異様な色に染まっていることに気づいた。


「…あれは?」


俺は手を止め、じっとその方向を見つめた。空の一部が、まるで黒い雲が渦巻いているかのように不気味な色をしている。さらに、周囲の空気が次第にひんやりと冷たくなり、鳥たちの鳴き声も止んでしまった。


「なんだか、嫌な予感がするな…」


周囲を見渡すと、他の人々も同じ方向を見つめてざわめいている。街全体が、異変に気づき始めたようだった。


「これって、まさか…」


心の中で不安が膨らむ。かつての戦いが脳裏をよぎる。この平和な生活は、いつまでも続くと思っていたけど…また何かが起きるのかもしれない。


その時、果樹園の奥から誰かが走ってきた。


「大変だ!街の外れに、見たことのない門が現れた!」


門?俺は胸の鼓動が速くなるのを感じた。今まで見たことのない現象に、街中が緊張し始めていた。何かが起きようとしているのは確かだ。


「…確かめに行くべきか?」


平穏を壊すかもしれないこの門に関わるべきか、それとも様子を見るべきか。心の中で葛藤が渦巻く。俺は一人でこの問題に対処すべきなのか、それとも誰かと相談すべきなのか?


---


どうする?


1. 門の前まで行き、直接確かめるか?

2. 街の長老たちに相談し、状況を見極めるか?


次の更新は明日17時。選択の締め切りは本日20時!

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