第7話 新たな仲間と危機の前兆①

 夜の納屋で新たな加工品の設計図を描いていた竜星は、背後からの気配に気づいて振り返った。そこには、冒険者のような装備を身に着けた若い女性が立っていた。


 「…誰だ?」

 竜星の声に、女性はふっと笑みを浮かべた。


 「お前がこの村を動かしている田中竜星だな?」

 「そうだが…君は?」

 「アリサだ。傭兵みたいなものだと思ってくれていい。ギルドのやり方が気に入らなくてね、お前みたいな奴に興味が湧いた。」


 竜星は少し警戒しながら彼女を観察した。アリサの瞳には鋭い光が宿り、その言葉には揺るぎない自信が感じられる。


 「興味が湧いたって、具体的にはどういう意味だ?」

 「簡単だ。お前が本気でギルドと戦うつもりなら、私の力を貸してやるってことだ。」


 竜星は彼女の言葉に眉をひそめた。


 「力を貸すって、ギルドのやり方が気に入らないだけでここまで来るのか?」

 アリサは腰の剣に手を置きながら、軽く肩をすくめた。


 「それだけじゃない。ギルドは強い力を持ってるけど、その影で多くの村や人々を犠牲にしている。私はそれを止めたい。でも一人じゃどうにもならないから、協力する価値がある奴を探してた。」


 その言葉に竜星は少し考え込む。アリサの態度には嘘偽りはなさそうだが、彼女の本当の目的がまだ掴みきれなかった。


 「なるほどな。でも、俺たちに協力する理由があるとして、何をするつもりだ?」

 「簡単な話だ。お前の村を守りながら、ギルドの弱点を突く準備をする。それに、冒険者としてお前たちの商品を広める手伝いもできる。」


 アリサの具体的な提案に竜星は少し驚きを覚えた。彼女の動きは的確で、ただの野心家ではない。


 「冒険者として商品を広めるってことは、ギルドの目に触れるリスクもあるだろう。」

 「そのリスクを避ける方法を考えるのはお前の役目だろう?」

 アリサは挑発するように微笑みながら言った。


 竜星はその言葉に苦笑しつつも、少しずつ彼女に興味を抱き始めた。


 「分かった。協力してもらう。ただし、俺の指示に従うことが条件だ。」

 「いいだろう。お前が本当に頭が切れるかどうか、試させてもらう。」


 彼女は手を差し出し、竜星はそれをしっかりと握り返した。


 アリサとの握手が終わると、彼女は少し声を落として言った。


 「それから、一つだけ教えておく。ギルドがただの組織だと思わない方がいい。」

 「どういうことだ?」

 「奴らの背後にはもっと大きな力がある。それが何なのかは分からないけど、私はそれを調べるために動いている。」


 竜星の表情が険しくなる。ギルドがこの村を圧力で支配しようとしているだけではなく、さらに大きな謎があるのだと感じた。


 「分かった。それも含めて協力してもらうよ。」


 翌朝、村人たちの前でアリサを紹介することになった。竜星は広場に集まった村人たちに向かって話し始める。


 「今日から、アリサが俺たちの仲間に加わる。彼女はギルドに対抗するための重要な力になってくれる。」


 村人たちは戸惑いながらも、彼女の強そうな雰囲気に少し安心した様子だった。一方、アリサは周囲を見回しながら軽く笑みを浮かべた。


 「よろしく頼むよ。この村がどれだけ強くなれるか、楽しみにしてる。」


 竜星はアリサとともに新たな一歩を踏み出した。そして、彼の頭の中には、ギルドを超える仕組みを作るための新たな計画が浮かんでいた。

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