教室の隅の上田ですが、決意によって超常的な力を手にしたようです。
若葉たぬき
第1話 退屈な日常から
「…てことで、授業おわるぞー」
きりーつ
きょーつけー
れーい
『ありがとうございましたー』
ザワザワ、ザワ
…
用は、さっきの休み時間に足した。
もう1回トイレに行くのは変だよなあ。
意味もなく開いた教科書
何度も読んだ随筆を目で追う
「数学の課題できた?あれやばいっしょw」
「もういいじゃん、ノリでいけるって笑」
…なにが違うんだろう。
勉強も必死にやったし、運動も壊滅的ってわけじゃない。
声をかけられたらそれ相応の返事はするし。
陰キャ陰キャって影で呼ばれてるのかな。
…デブはいいよな、デブってだけで居場所があるんだもんな。
もう少し顔が良ければ?
もう少し運動ができたら?
もう少し─────
ドカッ
「ごめーん上田w 当たった?w」
「…ッ!…大丈夫だよ」
後頭部に鈍痛
足元に小汚いボールが擦り寄ってきた
「パース!w」
…届かないだろこんな距離。
ボールを抱きかかえて小走りする
「なんだよ、投げりゃいいのに」
「…危ないから」
…謝らないんだ。
へえ。
何度も何度も、わざと人の頭にぶつけて。
僕だってわかる、これで6回目だから。
すれ違いざま、小さな声で
言ってやった
「しね。」
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