第24話 掴みどころ

【お待たせ!!行くよ、乗って】


優奈、マットを投げてきた。


【これ、やってみたかったんだよね。よくドラマとかであるじゃん。はい、乗って!!】


【あのさ、バイクの後ろって、どこ掴めばいいの?美優の時も迷って困ったんだよ】


【ここ。バーみたいの。それ掴んで】


 何だよ、ちゃんとあるんだ。美優のやつ、自分を掴んでとか間違ってるじゃん。


 走りながら、信号待ちで話を。美優よりずっと上手い。安心して乗っていられる。


【お姉さん、もしかして自分の腰とか掴んでって言った?】


【うん、それよりも…そんなこといいや。信号変わったよ】


再び走り出して、この時間は空いてる。


確かに電車より着くの早いな。


信号待ちで、優奈は、


【もっとしっかり掴んでとか言われた?】


【まだ引っ張るのか?気になるとこ?】


【やっぱ姉目線じゃないじゃん。私なんか弟乗せた時にビビってしがみつかれてコケそうになったんだよ。お姉さんほんと優しいね。本当に姉と弟?あり得ないって!!】


【ほんとだよ。残念だねー、優奈の予測外れー。変わったよ、信号】


血の繋がらない姉にしたいんだろうな。


もしさ、そうだったら、どうする?


うーん、付き合えたり、恋人になったり?


あり得ない。気まずくなるだけだ。


可愛いのは可愛いから、そこは認めるけど。



 優奈、今日出会って、バイク乗せてもらって、凄い展開早いよな。なんかバイク女子って多いんだな。俺も免許取ろうかな。



 ライダースジャケット似合ってるし、これ、けっこう縛られてない?意外とあるんだな。



と、変なこと考えちゃ失礼だね。



 このバイクの掴むバーは、この速度だと怖いな。振り落とされそうだ。


ちょっと失礼…


【ヒャ!!何、急に?】


慌ててバイク、ブレーキ!!


【ごめん、ごめん、手が疲れてさ。くすぐったかった?】


【もー、信号待ちにしてよ。びっくりしたよ。腰は特に弱いんだからね】


【解った、気をつけるよ】


【はい、しっかり掴んでよ。急じゃなければ大丈夫。手が疲れたんでしょ?腰でいいから】


【いいの?くすぐったくない?】


【ぐっと掴めば大丈夫。はい、行くよ】


優奈、腰、細ーってならないのがいい!!


柔らかくてあたたかいな。真夏は無理だね。


そう考えると、美優って細いんだな。


って、なに比較してんだ,俺は!!








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