道標

第13話:異例の花の蕾(ツボミ)

「今年は、なんでこんなに化け物が勢揃いなんですか...」


王立学園の大会議室では、学園上位の教諭達5人と学園長、副長の7人が黒の大理石の丸いテーブルを基盤に彼らは席を座っていた。

そして、その一人のメガネを付けた学者のような服のした教諭が静寂を飛ばした。


「どれも入学希望者のトップ層はランクCクラス。その中でもBクラスに匹敵する者が数人いるなんて...今年は冬に雪でも降るんじゃないですか?まあ!冬に雪が降るのは普通ですけどね!ははは!」


「「「「「「.........」」」」」」


一人の筋肉ムキムキマンのような教諭が口を開けた。その声はとても大きく、正直に言うとうるさいレベルである。


「コホン、それより学園長。今年の入学希望者は異常な人材だらけです。王女殿下や、水の公爵令嬢、侯爵殿下、それに天使と子爵様の間に生まれたハーフなど、あまりにも全体的に強すぎる。もはやここにいる私達も現役時代はSランクでしたが、今ではAランクの冒険者程度...

これじゃあ教えられることが限られてしまいます」


先程の学者のような者が学園長へ向けて言う。

しかし、その右隣りにいた険しい顔のおじいさん?が批判する。


「いやいや、別に儂らでもCやBランクのレベルを教えてあげる実力はあるぞ。これでも冒険者としてS3をもらった武術の使い手じゃ。まだまだ小童にはまけんぞ」


それを聞いた他の教諭たちもうんうんというような顔になる。


「たしかにそう思えますよね。しかし、それは短期的に考えたことでしょう。

今までの生徒は最初はEやDランク程度がせいぜい上位層をキープしていました。ですから、いくら4年間教えたとしてもせいぜいCやBランクで、まだ教えていられていました。ですが...」


その教諭が指を鳴らすと牛のような使い魔が、少し大きめのボードを首に吊るして扉を開けて持ってくる。

そこには例年と書かれたグラフと、今年と書かれたグラフがあり、


「ことしはCランクとBランクがすでにいる...つまりは4年後にはBやAランク...もしかしたらSランク程の実力を持ってしまうかもしれません。

そんな凄く才能を秘めている生徒に教えてあげられる教育をさせてあげなければいけないのです」


「え、Sランク?!そレは儂らの現役と同じレベルってことだろ?!いくらなんでもそれは行きすぎなのでは...」


「あくまで可能性です。ですが....今年の生徒は才能ステータスがあまりにも高すぎる。

平年最高水準才能ステータス持ち...つまりは平年の5名程度のトップ層以上の方々が今年は18名もいられます。しかも準勇者レベル以上の方々は4名と初のことです。」


「まて、つまりは...」


「はい。玄武やイヴォ、アリスといった最高水準才能を持つものを超える成長力を秘めている。更にそのレベルが14名...これでわかってくれましたか?」


「あいつら...あまりにも学園で強すぎて国中のあちこちのダンジョンやら遺跡やらを潜っているからな...そいつらが18名も増えるだと?それでは....本格的に学園に来る理由がない。儂らはいらないじゃないか!」


おじいさんは今の状況を恐ろしさを理解したのか席を急に立ち声を荒らげて焦る。

すると、学園長がすっと立ち上がり、おじいさんの眼の前に手が出される。


「トモゾウ...静粛に」


「ですが!この状況は..........すみませんでした。学園長」


「では、話の続きを。」


「そうです。そのため、トップ層、上位層の既にDランク上位、CランクとBランク程度の生徒達を新教育方法で育てていくのはどうでしょう。このような企画を...」


学者のような教諭が目をキラッとして言う。


「スーパーデンジャラスな企画という名前です」


「「「「「「.......」」」」」」


だが、企画が決まるのは随分あとになりそうだった。




次回の予定は10/17 17:00になります。[B]

新しい章に入りました。ここからが作品の本番です!

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