第9話 海の住人 魚人ミナ

「カイさっきは、助けてくれてありがとう。」

「どういたしまして。」

「それにカイ、家に誘ってくれてありがとう。

でも私、ギルドに用事があるの。

そのあとでもいい?」

「もちろん。」どの世界もやっぱり女子が

主導権を取るんだな。

「えっ?カイ何か言った?」

「いや。何も。」

ミナが「自己紹介がまだだったわね。私は海の住人ミナ。

陸の人間と違うの。家はあの港、海の中よ。

魚人よ。

海底ダンジョンも、ほらこの耳の裏のエラを水中では切り替えて攻略するの。

最強でしょう?」

「そうだね。でも見かけは僕ら人間と変わらないよな。」

「カイ、聞いてた?だから耳の裏、ここ。」

「そうだな。すごい。最強の秘密兵器だな。」見ると耳の裏に小さく筋がある。

少しミナが照れる。正直、人間の男の子と話したのは、はじめてだったからだ。

「褒めてくれてありがとう。でも陸の人達は私達をバケモノと呼んでるわ。

魚人は嫌われているのよ。

特にさっきの男爵は、あたりが強いの。」

「それは大変だな。でも気にしなくていいじゃないか。陸も海も自由に行けて魚人は、すごいな。特別だ。」

「カイ、やっぱりあなた少し変よ。みんな魚人と話したがらないのに。」

「そうなんだ。でも僕は僕だし。他人は関係ないかな。」元の世界も同じだ。僕は僕だ。

僕らはギルドに入った。

中はマンガで見ていたままだった。

冒険者達がテーブルに座り雑談。

ボードには仕事の依頼がたくさん貼ってある。

目の前には長いカウンター。

お決まりのギルドの綺麗で優しいお姉さん達がいる。

嬉しさのあまり僕はキョロキョロ。

カウンターから声が

「カイくん。聞いたわよ。男爵ラン様と戦ったんですって。」

ギルドのお姉さんは僕をよく知っているようだ。

「そう、なんです。」

「あれれ?カイくん、大丈夫?いつもと違うようだけど?」

「昨日海底ダンジョンで、大ダコと戦った時に

頭をぶつけて。」

ギルドのお姉さんとミナがハモって

「それはないわ。」

「カイくん、大ダコは、海底ダンジョンのボスモンスターよ。」

嘘がバレた。

ミナが「せいぜいマタンのモンスターぐらいじゃないの?

マタンの電気攻撃でたまに気絶する冒険者がいるけど。」

ミナ、情報ありがとう。

僕は「実はそうなんだ。」

「それは災難だったわね。カイくん。」

ミナが「冒険者ギルドカードの更新に来たんだけど」とカードをお姉さんに渡した。B級ライセンスだ。

コツコツと階段を降りてくる音。

目上げた「えーっ!魔女デルタ!」





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