ゲームオーバー
私が転移してからものの数分。
最後まで戦い抜いたリリーラとその仲間たちが訓練場へと転移されてきた。
「ここは……?」
戦いを終え、ほっとした空気から一転。戸惑った様子のリリーラや他の兵、冒険者に私はパチパチパチと拍手を送る。
転移されてきたのはリリーラと三人の兵に、二人の冒険者だった。
「ゲームクリア、おめでとうございます、リリーラさまと、そのお仲間の方々」
「キョウカ……?」
「一体何がどうなっているんだ? 貴女はテントで待機して……いや、そもそもここはどこなんだ?」
戸惑うばかりの彼女たちに私が説明をする。
「わかりやすく言うなら、今までリリーラさまたちにはゲームを楽しんでいただいていたのです」
「ゲームだと?」
「そう。私が用意した手下を倒せるかどうかのゲームです」
「一体何を言っているんだ、キョウカ?」
「そうですね……察しの良いリリーラさまならこれでお判りでしょう?」
そう言って私は変化の妖術で隠していた姿を現す。
それに彼女は一瞬戸惑った様子だったが、すぐに剣を構えた。他のみなはどよめくが、彼女がすぐに「戦闘態勢を」と言った。
「なるほど、私たちは最初からまんまと踊らされていたというわけか」
「ご名答。あれは私が即席で作った人形で、今回のボスだったというわけ。ちょうどいい強さだったでしょう?」
それにリリーラが「舐められたものだ」と小さく笑う。が、その表情には先ほど以上の緊張と微かな恐れの色があるのがわかった。
彼女ほどの力量なら私がどの程度の力の持ち主なのか薄々と感じ取れるのかもしれない。
「それで、ボスを倒したということは何か報酬があるのだろうか? クリアということはもうおしまいなんだろう?」
「お生憎さま。私が元いた世界のゲームというのは、ボスがいてもそのまた先にさらに強い裏ボスというのが用意されているのが多くてね」
「つまり貴女が?」
「そう、今回のゲームの裏ボスというわけ」
クスクスと笑ってみせる。
「裏ボスか……。なら――斬られる覚悟も十分と考えさせてもらうぞ!」
言って彼女が鋭い剣筋で狙ってくる。
それは流石のものと言えただろう。彼女ならタマ吉が相手でも少しばかりは粘れるかもしれない。
しかし、それでも圧倒的にレベルが足りていない。
易々と手で受ける。
だが、受けられるのは重々承知の上だったのか、リリーラが周囲に檄を飛ばした。
「散開しろ! こいつをキョウカと思うな! 本物のキョウカかどうかはまた別としても、こいつは紛れもない魔族だ!」
その言葉にみなが散った。
私は大きくバックステップを踏んで、小手調べと言うように氷のつぶてをリリーラ目掛けて放ったが、彼女は相当に速いそれを剣で弾いた。並の人間には出来ない芸当だ。
その間に兵の二人がまず突っ込んでくる。
槍と剣のコンビネーションだが、剣はわざと受けられるためのおとり。本命は槍での一閃という塩梅なのがわかった。
だが、受けられる、という予測が仇となる。
「――っ!?」
私は連中の思惑を外すようにふわりと宙に身体を舞わせ剣をかわすと、風の矢で兵の一人の頭を兜ごと撃ち抜いた。
「レンツィオ!」
兵が崩れ落ちる。
もう一人が慌てて槍を構え直して突き出してくる。
が――。
「なっ!?」
私は槍の柄をつかみ、身体をひねるように地面に降り立つと、素早くまわしげりを放った。
「ぐ、ぷっ……」
胴に入ったそれはろっ骨を容易く潰し、臓腑共々圧縮するように衝撃を与えた。
吹っ飛んだ兵は地面を数メートル以上激しく転がって横たわり、ピクリとも動かなくなった。
点々と咲いた真っ赤な血の花に、命が無くなったのは誰の目にも明らかだっただろう。
「あらら、もう二人死んでしまったわね。どうするのかしら?」
ニマリと笑うと、兵の一人が叫んだ。
「リリーラさま、ここはお退きください!」
賢い兵だ。
今のやり取りで私の力が並のものでないと判断したらしい。
こうなれば冒険者も私を自分たちの知るキョウカだとは思わなくなったようだ。
大きな炎の塊が私めがけて飛んでくる。しかし、私はそれをふっと一息でかき消した。と思えば、その反対から投げナイフが私の頭部目掛けて飛んできた。
なるほど、この連携も悪くない。
でも、
「飛び道具で私の隙を突きたいのであれば、まずは音速を超えてくることね」
易々と挟みとったナイフをひゅっと返す。
音速に近いそれは冒険者の額に深々と突き刺さり、彼は前のめりにそのまま倒れ込んだ。
「リリーラさま! 一刻も早くこのことを国王陛下にっ!」
リリーラもバカじゃない。
今の一連のやり取りで勝ち目はないと踏んだのだろう。身体を反転させて駆け出す。
私の存在は言うなれば国家存亡の危機だ。騎士の矜持もなにもないだろう。
だけど、私だってそれを見逃すわけがない。彼女が来てからの三週間、今日までのことは全て彼女を私の手の内のものとするためにやってきたのだ。
少しでも時間を稼ごうと向かってきた兵を一撃に屠り、先ほどとは違って多数の火の玉を飛ばしてきた冒険者には幾千もの風の刃を飛ばした。身体をズタズタに引き裂かれた冒険者は体中から血を噴き出してその場で絶命する。
そして大きく跳躍して訓練場の出口へと向かっていたリリーラの前に降り立つ。
「残念。逃がすわけにはいかないのよ」
彼女は左右に素早く視線を振るが、もう何も小細工が出来ないと悟ると改めて剣を構え直した。ここまできてもその姿勢にブレはない。かなりの鍛錬を積んできた証拠だろう。
「でも、そうね……私が用意したボスを倒したご褒美に、貴女に最初の一撃を繰り出す権利をあげる」
「ほう?」
「せっかくだもの。自分が一番自信を持っている一撃で来るといいわ」
「……大した余裕だな」
そう言ってリリーラは小さく詠唱を開始すると、刀身にまとわりつくようにバチリバチリと激しく電気が走った。
「なるほど、言うなれば魔法剣というやつかしら?」
おそらく今回の傀儡も魔法と剣技の組み合わせで倒したのだろう。
「見たところ、下手な攻撃じゃなさそうね」
「だろう?」
苦し紛れか、彼女がにやりと口を歪め、「その威力、その身をもって知るが良いっ!」大きく振りかぶって振り下ろしてくる。
「――っ!」
「……でも、残念。私に傷をつけるにはレベルがすこーし足りないみたい」
振るわれた魔法剣が私の首元から袈裟懸りのように撃ち込まれたが、私の身体は皮膚の一枚が切れたかどうかのものだった。まとっている雷撃も微かにチリチリと感じるくらいでダメージになっていない。
「くっ……!」
リリーラが剣をのけていったん距離を取ろうとするが、それを許すわけがない。
追うように間合いを詰め、同時に彼女の腹部を軽く叩く。
「カハッ――!」
相応に加減したつもりだったが、それでも人間というのはあまりにも脆すぎる。
剣をその場に落とし、腹部を抱え込むようにしてその場に倒れこんでしまう。
横隔膜に相応のダメージが入ったのか、呼吸は喘ぐようなものになり、口からだらしなくもれた液が地面にしたたっていく。
「お見事でございます」
見やると訓練場の入り口から天羽々斬が歩いてくるの姿が見えた。
「今の剣戟、人間にしてはなかなかの絶技……呼ぶなれば必殺技であったと思うのですが、姫さまにとってしては児戯に等しいものでございましたな」
「ええ。強すぎるというのも困りものね」
「……せっ。こ……せ……っ」
「うん?」
まだ整わない呼吸だが、それでもリリーラが何やらを呟いている。耳を寄せると、「殺せ」と言っているのがわかった。
「殺せ。なるほど、捕まって生き恥をさらすくらいならここで果てると?」
「騎士としての矜持というものでしょうな」
天羽々斬がそう言う。
「でも、そんなこと許すと思う? ボスだって、相手を倒したら報酬が欲しくなるものなのよ」
倒れたままの彼女の綺麗な髪をつかんで持ち上げる。そして、もう一方の手で邪魔な防具をはぎ取り、服を無理矢理に引き裂いた。
肌がのぞき、服や防具で押さえつけられていた女の部分があらわになる。
「へぇ、思ったより大きいのね」
言いながら胸をわしづかむ。
「くっ――」
そこで少し呼吸が整ったのか、髪をつかんでいる私の手をつかんで力を込めてくる。ふぅん、と思いながら手を放してやるとドサリと再び地面に倒れこんだが、すぐに這うように出口の方へと向かい始めた。
思考はまだ冷静さを取り戻せていないのだろう。
逃げられる逃げられないじゃない。身体が思うまま、ただこの場を乗り切ろうと半ば本能的にに動いているのだ。
「いやね、そんなに煽情的に動かれたら抑えが効かなくなってしまうわ」
背後から覆いかぶさるようにして彼女を地面に組み伏す。そのまま残っていた衣装を取り払って、私は自分の指を舐めた。
「ねぇ、リリーラさまはご存じかしら?」
リリーラが苦し気な視線をこちらに向けてくる。
「私の一族はね、卵核というものを作って、自分の分身を作るように子孫を増やしていくの。けれど、私はまだ生まれて間もなくてね。自分で卵核を作れるほど成長していない。せいぜい作れるのは未熟な核くらい。それじゃあどう頑張っても仲間は増えないわ」
言っている意味がわからない。
そう彼女の表情が言っている。
「けど、卵があれば別。そして貴女のココ……」
背から回すように下腹部に触れてやる。
その言葉と仕草で察したのか、彼女の顔は一気に絶望の色に染まった。
「ココには赤ちゃんの元になる卵があるでしょう?」
最悪とも言えるだろう展開に彼女が再び逃れようと全力でもがくがそれは私の嗜虐心をくすぐるだけだった。
「大丈夫。貴女と私の子供ならきっと可愛い子が産まれてきてくれるはずよ」
「殺せ! 殺せぇ……!」
「そんなこと言わないでよ」
彼女の首筋に口をつけ、そのまま舌でうなじをなぞり、背後から回した手を動かして彼女の胸をもみしだく。
あまり悠長にやっていてはつまらない。私は自分の二本の指にたっぷりと唾液で濡らすと、彼女の秘所の割れ目をゆっくりなぞり……
「ここね」一気に突き刺した。
「があっ……!」
いきなりの苦痛に彼女が声をあげる。
固く閉じていたそこからは鮮血が流れてきた。濡れてはいなかったものの、この分だと未だ色は知らなかったらしい。
ゾクゾクという快感が背をかけのぼり、私の下半身も熱くなる。
まだ濡れていないそこの中で指を動かすが、彼女の口からもれてくるのは嬌声などではなくただただ痛みによる苦悶の息だけだ。
だが、今の私にとってはそれが何よりも私を燃やしてくれる。
「ぐぅ、が、ああぁ……っ!」
「ほらほら、もっと頑張って抵抗しないと。私の核が貴女の卵とくっついて子を成してしまうわよ?」
「やめ、やめろ……魔族の子、など……ひ、ぐぅ!!」
強く中をかき回す。
人間とは何とも悲しい生き物だ。こんな凌辱に対しても防衛本能として僅かであるが中が湿り気を帯び始めていた。
首筋に唇を寄せて強くすする。快感を与えるつもりは毛頭ないが、所持品となったことを表すマークをつけたいと思っていたのだ。
「ぎ、が、ああぁ……」
「ああ、堪らない。貴女がそうやってもがく姿を見たくて見たくて堪らなかったの」
「ころ、せ! 殺せ……っ!!」
「い、や、だ」
これから無茶苦茶に凌辱され、挙句の果てに私の核を産みつけられる彼女はどんな声で啼いてくれるのか?
それを考えただけで、私は達してしまいそうだった。
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