エニグマ

憮然野郎

プロローグ

### プロローグ: **「エニグマ・ゲーム: 闇の13階」**


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東京の夜、冷たい風が高層マンションの窓を叩きつける。13階の一室に、年齢も性別も異なる男女が集まっていた。彼らは皆、SNSで知り合った匿名の依頼者Xに弱みを握られ、その弱みを暴露されたくない一心でここに来るように指示されていた。


部屋の中は薄暗く、唯一の光源は2つだけだった。

天井に取り付けられた現代風モダンな内装には不釣り合いな古びたシャンデリアから漏れる淡い光。

また、窓越しに見える都市部のネオンの光である。

 

 時計の針が約束の時刻を指すまで、あと1分を切っていたが、依頼者Xはまだ現れない。緊張と不安が部屋の中に漂い、誰もが無言のまま互いの顔を見つめていた。


「もう待てない!」と、若者の一人が痺れを切らして立ち上がった。彼は部屋の出口に向かい、ドアノブを力強く回したが、ドアはびくともしない。焦りと苛立ちが彼の顔に浮かび上がる。


「何だよ、これ…」彼は呟きながら、今度は窓に向かって走った。他のメンバーも彼に続き、窓を開けようと試みたが、窓も固く閉ざされていた。


その時、不意に部屋のスピーカーから低く冷たい男の声が響き渡った。


「皆さん、ようこそ。私はエニグマ。このゲームの進行役です。」


声の主は、彼らに「エニグマ・ゲーム」のルールを説明し始めた。ゲームの目的は、一見すると普通のワンルームだが、実は次元を超越して存在するこの不思議な超空間ワンルームに隠された「真実」を見つけ出し、生き残ること。しかし、エニグマは参加者たちにあることを強いると言う。そして、それが意に沿わない者は不利な状況に追い込まれる。


「さあ、ゲームを始めましょう。時間は限られています。生き残るためには、あなたたち自身の手で真実を見つけ出さなければなりません。」


部屋の中に緊張が走り、参加者たちは互いに不安と疑念の目を向け合った。これが、彼らの悪夢の始まりだった。


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