第二章 第十一話 クラスメイトA

 そんなこんなで人に頼られる事が増えた(気がする)私は、以前は「クラスメイトA」的な、存在だった。

 成績は良くても聞いてくる人はいないから言わなかったし、運動音痴だし、可愛くないし、本ばっか読んでるしで、どこにでもいる女子中学生だった。

 運動は、結構ひどいけど生活に支障はないので放っておく。

 ある日から健太先輩に勉強を教え始めた事で少し有名になり、今では超陰キャから脱陰キャへと向かっている。別に陰キャでも良いんだよね、別に。

***

 お久しぶりです。三木健太です。

 最近は見川千尋さん(以外、千尋)とは順調で、たまにデートなんかも行っている。でも、なにか違う。

 千尋には悪いけど、桜田さんとの、あの楽しくてドキドキする時間が忘れられない。

 付き合ってるのは千尋だからちゃんと楽しませたいし、楽しみたい。

 その気持ちが最近薄まってきた。今日はその原因の出来事があった。

〜〜〜

 ある日の朝。少し早めに登校すると、千尋が女子達と話していた。

 我ながら盗み聞きはよくないと思うけれど、何故か隠れてしまった。

「…てか、千尋って最近三木君と付き合ってるんだよね? どう? イケメン男子と付き合う女の気持ちは!」

「うーん、健太って何か、男らしくないんだよね。正直センス悪いし。せっかくが付き合ってやってんのに。イケメンと付き合ってるとなにかと自慢できるし都合がいいんだよね、あ、これは秘密ね」

「さすが裏マドンナ、鋭い意見ですな」

「まじで、三木君って千尋のことちゃんと知ってるのかな? 何も知らなさそう」

「ああ、何にも知らないよ。だって健太、私の事『大人しそう』なんて言うんだもん」

「なにそれ反対じゃん! あはははっ!」

 俺は結構ショックで、「桜田さんに会えないかな」とかすかな希望を持って図書室に行ったが、残念ながら会えなかった。

〜〜〜

 そんなこんなで、明日はデートの約束のがあるので、しっかり話をしたいと思う。

 話したら、もしかしたら、聞き間違いかもしれないし、もしかしたら、誤解かもしれない。

 誤解であることを願いながら、帰路に俺は着いていた。

 


 

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