第二章 第五話 恋バナブーム
俺は見川さん(以下、
俺達は順調で、何度かデートなんかにも行っていた。
千尋は付き合ってからイメチェンした。長くて目元が見えなかった前髪を切り、ロングヘアーから、ミディアムヘアーにした。
確かに俺の好みではあるが、わざわざ切らなくても良かったに。千尋は充分可愛いから。
気付いたら俺は千尋に夢中になっていた。
「ピロン♪」
「やっほ! 明日って会える?」
千尋からLINEが来ていた。返事はもちろん
「良いよ いつもの公園?」
「うん! 10時に来て!」
「了解」
「楽しみ〜!」
本当に楽しみだ。
でもなんだろうか。どうしても桜田さんの笑顔が頭から離れない。
まさか……。
***
はぁ、良かったぁ。みこが無事に仲直り出来て。本当に良かった。
……そういえば、健太先輩は見川先輩と順調だろうか。もう私には関係ないのだが、思春期の女子には気になるらしい。私の斜め前の席で女子が群がり、乙女らしい会話をしている。あの先輩はああ、あの先輩はこう、と、良く飽きないものだな。
「恋バナ」は最近のブームなのか、皆すっかり夢中だ。中には顔が赤くなっている程興奮している子もいる。そんなに楽しいものなのか。
……わからん。とりあえず、本を読もう。
「キーンコーンカーンコーン……」
もうこんな時間。そろそろ帰るか。
〜〜〜
「あ、健太先輩! こんにちは」
昇降口で、健太先輩に会った。
「あ、桜田さん、こんにちは。ずいぶん遅いね」
「はい……、本を読んでたらうっかりこんな時間になってて」
「あはは、また?」
そういえば、初めて会った時も遅くに会ったっけ。ちょっと懐かしい。
健太先輩は、見川先輩とどうなんだろう。うまくいってるのかな。
「先輩、見川先輩とはどうですか? 順調ですよねー」
思い切って聞いてみた。
そんな踏み込んだ質問にも笑顔で返してくれた。
「うん、明日会うんだ。楽しみなんだ」
「へぇ、いいですね! 楽しんで下さい」
「ありがとう」
なんやかんやで一緒に帰ってしまった。先輩には彼女がいるのに!
またね、と言う先輩、ちょっとだけドキッとしたな。って私! 人の物は取っちゃだめだめ。
***
久しぶりに桜田さんに会った。
俺は滅茶苦茶嬉しかったが、桜田さんはそうでもなさそう。少しがっかり。
俺の一方的な話もずっと笑顔で聞いていてくれる、あの優しさは天使か、女神か。
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