第4話 初めての事件、影との接触

警視庁捜査一課に配属されてから数ヶ月が過ぎた。美咲は日々の仕事に追われながらも、両親を殺した犯人を追う執念を強く心に秘めている。だがその思いとは裏腹に、日常の業務は予想以上に平凡な事件ばかりで、美咲の焦燥感は日に日に増していた。


ある日、課長が部屋に入ってきた。 「美咲、ちょっと来てくれ」と声をかけられる。美咲は緊張しながらも、課長のデスクに向かうと、一枚のファイルが彼女の目の前に差し出された。


「これ、新しい事件だ。今朝、発見された死体だが、被害者の状況が過去のある殺人事件と酷似しているんだよ。」 課長の言葉に、美咲は即座に察した。「母親が殺された事件と同じ手口…?」


ファイルを開けると、冷酷に殺された被害者の写真が目に飛び込んできた。背中を数回刺されて倒れたその姿は、まさに7年前の父親の最期を思い起こさせるものだった。


「この件、私に担当させてください!」と、美咲は即座に課長に頼み込んだ。課長は美咲の強い意志を感じながらも、少し躊躇し、「美咲…冷静になれよ。これはただの偶然かもしれない。」と優しく言う。しかし美咲の決意は揺らがない。


調査開始


美咲は、すぐに事件現場へ向かった。血の跡が乾き始めた場所、警察が立ち入った形跡、そして現場に残された微かな手がかり。それらを注意深く調べる美咲の心の中には、怒りと焦燥が渦巻いていた。


すると、背後から足音が聞こえてくる。振り返ると、捜査一課の同僚たちが現場を囲み始めていた。古参の先輩たちは黙って美咲の行動を見守っていたが、若いメンバーは冷ややかな視線を向けてくる。


「特別扱いってわけか」と、若い同僚の一人がつぶやいた。美咲はそれを無視し、冷静を装いながら調査を続けた。しかし、内心ではその言葉が彼女の心に突き刺さっていた。


犯人の影


捜査が進む中、少しずつ事件の詳細が明らかになってくる。しかし、決定的な証拠は見つからず、美咲の焦りは募る。そんな時、一つの奇妙な出来事が起こった。美咲のスマホに、一通の匿名のメッセージが届いたのだ。


「次はお前だ」


その一言が、美咲の心臓を凍りつかせた。送り主の手がかりは何もないが、その言葉には彼女の過去を知っている者の冷たい意志が感じられた。美咲は一瞬、息が詰まるような感覚に襲われたが、すぐに拳を握りしめた。


「待っていろ、必ずお前を捕まえてやる…」


この時、美咲は犯人との間に、初めての本格的な接触があったことを悟った。母と父を奪ったあの殺人鬼が、今もなお暗い影として美咲を見つめている。その影に立ち向かうため、彼女はますます復讐心を燃やしていくのだった。


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