第1話 始まりの鐘
4月
藤峰学園高等学校の昇降口の前には何枚もの大きな紙が掲示され、生徒達はその中から自分の名前を見つけ出そうと必死になって探していた。
瑠香もその中の1人として、もみくちゃになっていた。友人の美玖と凛とは3月の最後に「来年も同じクラスがいいね」といって別れたが、その言葉が現実のものになるか。不安しかない状況に置かれていた。
「あった...。」
瑠香はやっとの思いで見つけた自分の名前を頼りに、下駄箱まで抜ける。
下駄箱には先に自分の名前を見つけていた美玖と凛が待っていた。
「やったじゃん、また同じだね」
美玖は瑠香を抱きしめ、嬉しそうに頭を撫でながら瑠香を出迎える。
「美玖!また瑠香が怒るよ!髪型崩れたら1日ヤバいんだからさ」
後ろから美玖を制するように凛が現れると瑠香の不安は吹き飛んでいった。
教室までの廊下を歩きながら、春休みの思い出を語り合う3人。周りは歓喜と、落胆の声が響きあう独特な雰囲気をまとっていた。そんな中、瑠香達は3年2組に到着する。クラスの中は既にグループが完成されかけており、賑わいを見せていた。
瑠香達は昨年度も3人で行動することが多かったが、目立たない存在ではなかった。瑠香の金髪に短いスカートは男子の注目の的であり、美玖のカールのきいたロングの黒い艶のある髪はどことなく近寄りがたい大人っぽさを感じさせ、凛はそのふんわりとした雰囲気と真逆のストレートな物言いで特定の男子からの熱い支持があった。
キーンコーンカーンコーン
鐘が鳴り、4月の始まりが告げられる。クラスの生徒がそれぞれの席に着くと、新たな担任が教室に入ってきた。
・・・・・・・・・・・・・・今日の登場人物・・・・・・・・・・・・・・・・・
永山 美玖/ながやま みく
女子 18歳
藤峰学園3年2組
身長172cm
黒髪ロングで綺麗なカールが巻かれているのが特徴
大人っぽいことから様々なスカウトをされるが本人は興味がない
海外旅行にすぐ行きたがるが、金銭的理由で即断念となることが多い
安達 凛/あだち りん
女子 18歳
藤峰学園3年2組
身長156cm
ふんわりとした髪型で特定の男子達から熱烈な支持を受けている
普段はロリータ系の私服が多いため、学校の制服に不満を抱いている
見た目に反して、言葉のチョイスや語気が強い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます