第18話 シガイの森

 

河東の乱 続編


第四幕:義元と氏綱の対話


1544年、駿河国。富士川を見下ろす今川陣営の本陣にて。


夜、陣中に篝火が灯り、静けさが漂う。義元は疲れた表情で地図を見つめ、戦況を振り返っていた。そこに、側近の朝比奈泰朝が歩み寄る。


朝比奈泰朝(演:伊勢谷友介)

「殿、北条方の動きが鈍くなっております。この機を逃さず攻め込むべきかと。」


今川義元(演:山崎育三郎)

「わかっている。しかし、敵も疲弊しているとはいえ、油断は禁物だ。我らがこのまま勝てるとは限らない…。」


義元はふと窓の外を見つめる。月明かりに照らされた富士川の流れが、戦乱の血を洗い流すかのように輝いていた。


今川義元

「私は、この戦いで何を得られるのだろうか。駿河を守るために、これ以上の犠牲を出す価値があるのか…。」


泰朝は義元の言葉に驚き、しばし黙った後、口を開く。


朝比奈泰朝

「殿、戦の勝敗は時に運に左右されます。しかし、民の平安を守るのは殿だけです。富士川以東を奪われれば、駿河の未来は失われます。」


義元は黙って頷き、再び地図に目を落とした。その時、見張り役の兵が慌てて駆け込んでくる。


見張り兵

「報告します!北条の氏綱様から使者が参られました!」


泰朝が顔をしかめる。


朝比奈泰朝

「使者…?ここに来て、何を企んでいる…。」


義元は思案し、すぐに答えた。


今川義元

「よし、通せ。どのような言葉を聞こうとも、我らの決意は揺るがない。」


使者として現れたのは、北条氏綱の信頼厚い重臣・松田憲秀(演:松重豊)。険しい表情を浮かべつつも、冷静に義元に挨拶する。


松田憲秀

「今川殿、我が主、氏綱様よりお言葉を預かり申す。『この戦い、無益に血を流し続けることを望むか。共に手を携え、東国の平和を築こうではないか』」


義元はその言葉に思わず顔をしかめ、泰朝も怒りを露わにする。


朝比奈泰朝

「今さら何を言うか!これまでどれだけの命が失われたと思っている!北条は裏切りの連続、今さら和睦など…」


義元は泰朝を制し、冷静な声で松田に応じる。


今川義元

「氏綱殿の言葉に偽りはないと信じたい。しかし、我が方も多くの犠牲を払っている。北条家のこれまでの行いを考えれば、簡単に信用することはできぬ。」


松田憲秀

「無論、それは承知の上。だが、我が主は病を患い、今後の戦に出られる保証はない。義元殿もまた、若き将として、国を守る覚悟を示すべき時が来ているのではないか。」


義元はじっと松田を見つめ、しばしの沈黙の後、答える。


今川義元

「使者に伝えよ。氏綱殿が本当に平和を望むのなら、我らが提示する条件を受け入れる覚悟があるかどうかを…それを見極めようではないか。」


松田憲秀

「心得ました。」


松田が退室した後、泰朝は再び義元に問いかける。


朝比奈泰朝

「殿、本気で北条と和睦を考えておられるのですか?」


義元は険しい顔で頷く。


今川義元

「和平が可能ならば、無駄に命を散らすことなく、駿河の未来を守ることができる。だが、北条が再び裏切れば、その時は…我が全力で相手を討つまでだ。」


第五幕:決戦の時


1545年、氏綱の病は深刻となり、北条軍の士気が低下していた。義元は好機を逃さず、北条軍への最後の総攻撃を決意する。富士川を越えた決戦の地で、今川義元と北条氏綱の軍勢が激突する。


北条氏綱(演:西田敏行)

「義元よ…若さと勢いで全てが決まるわけではないぞ。」


氏綱は病に侵されながらも最後の気力を振り絞り、義元を迎え撃つ。戦場は混乱を極め、双方の兵たちは互いに命を賭けて戦った。義元は前線に立ち、剣を振るいながら、勝利を確信していた。


しかし、勝利の代償は大きく、義元は戦の終結と共に自らも深い傷を負うことになる。戦が終わった後、義元は戦場に倒れた兵たちを見つめ、静かに呟く。


今川義元

「この血の河を渡って、我らは何を得たのか…。」



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 マサキはシガイの森にやって来た。滋賀の新開の森にある安土城跡の小さな森、信長の留守中に女中が宴会をしたら怒りを買って森で処刑され、この森では女の亡霊が徘徊するらしい。


 ### シーン 1: シガイの森の到着


マサキは静かな森の入口に立っていた。滋賀県の新開の森、そこは安土城跡に隣接し、歴史の影が色濃く残る場所だった。彼は聞いた噂を思い出す。信長が留守中、女中たちが宴会を開き、その結果として処刑されたという伝説。今でもその女の霊が森を彷徨っているという。


### シーン 2: 不気味な静けさ


森の中に足を踏み入れると、木々の間から差し込む光が薄暗く、不気味な静けさに包まれていた。マサキは心の中で緊張を感じながら、周囲の様子を観察する。微かに風が吹き、葉がささやく音が聞こえる。


### シーン 3: 謎の現象


歩を進めるにつれ、マサキは急に背筋が寒くなる感覚を覚える。ふと足元を見ると、草の中に古びた布が見えた。それは、まるで衣装の一部のように思えた。彼はその布を手に取り、歴史の重みを感じる。


### シーン 4: 幽霊の出現


その瞬間、薄暗い森の奥から冷たい風が吹き、女の声が耳に届いた。「助けて……」。驚いたマサキは振り返るが、誰もいない。再び声が響く。「私はここにいる」。彼は恐れと好奇心が交錯する中、声の主を求めて進んでいく。


### シーン 5: 幽霊との対話


森の奥深くに進むと、淡い光に包まれた女性の姿が現れた。彼女は悲しげな表情でマサキを見つめている。「私の名は、千鶴。無実の罪で命を奪われた」と告げる。マサキは彼女の苦しみを理解し、その心の声に耳を傾ける。


### シーン 6: 解放への道


千鶴(純名里沙)は、彼女の真実を伝え、安土城の歴史に光を当ててほしいと願う。マサキはその思いを受け止め、彼女の冤罪を晴らすための手助けをすることを決意する。千鶴は微笑み、彼に感謝の意を示す。


### シーン 7: 森の解放


千鶴の言葉に導かれ、マサキは森を後にする。彼の心には、千鶴の冤罪を解くための使命感が燃えていた。彼は安土城の歴史を探求し、彼女の名を未来に伝える決意を固めた。


### 結末への道


シガイの森を後にするマサキの心には、千鶴の霊の安らぎと、彼女の物語を語る使命が宿っていた。彼の探求は、新たな歴史の一ページを開く旅の始まりとなる。


 

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