うらみ方〈カタ〉

みにくさ

　今日もたいして面白くない一日を過ごす。

　いつも動画ばかりみていて満たされない日々を送るだけ。

　ときおり嫌な動画が流れてくる。

　外来種だのなんだの理由をつけて他の弱い生き物を食ってまで収益化（しゅうえきか）を目指す銭ゲバ。

　どうして誰も止めなかった？

　おかしいよみんな！

　そんなことを思う自分もおかしな人間のひとりだから救えない。

「人間でよかったねえ。 動画で見たくなくても流れてくる他の動物だとか植物が配信者に食われたり実験されたりしてるんだろう？ ま、人間の中でも拷問とか死刑、はもうないのか？ ともかくやられているやつもいるかもしれないけどほっっっっっんと良かったよ人間で」

　もうひとりの友人ははきすてるように現実を語る。

「権威主義者（けんいしゅぎしゃ）やらインターネット廃人（はいじん）の愚痴（ぐち）だとかよくあるきれいごとよりかはマシだけどさ、よりえぐってくるなよ」

　恨（うら）みばかり思い浮かぶのは幸せなことではないと言われるけど典型的（てんけいてき）なむかしのフィクションに影響されたクソヤローのセリフだよ。

　間違ってるかもしれないけどそういう連中がどんな家庭をもって破綻（はたん）したかオレたちは知ってるから。

「今日も馬鹿（ばか）どもを見るしかない。 40年以上も現実と向き合わない人間たちがどれだけ着飾（きかざ）ってもすけてるだろ？ みにくさが」

「集まればいじめしかしないくせに孤独（こどく）を恐れる現金なクズたち。 いやそれオレたちもそうじゃね？ ブーメランが返ってくるだけの人生なんていやだぞ」

　もう遅（おそ）いか。

　社会で周りへ仮の自分をみせる演技（えんぎ）が上手くてスペックも高めな悪口大好き人間の友。

　たしか誰かが言っていた。

　持つべき相手は優しい友ではなく口が悪い友。

　底意地（そこいじ）は悪くないから高校から大学、そして現在まで周りが聞いたら関係をうたがわれる話ばかりしている。

「はやくここから出ていってはたからこの田舎のじーさんばーさんの悪口オフレコでいいまくろう」

「オフレコだしクソヤロー達のことをクソヤローって言ったって現実なんだから受け止めない方が悪いだけだし」

　みにくい。

　自分たちもはるかに。

　でもいいか。

　気持ち悪いフィクションでごまかすよりも、幸せじゃないのに再現性（さいげんせい）のない日常への対処（たいしょ）を選んだ情報だとしても嫌な気持ちにしかならない。

　オレたちみにくい悪友（あくゆう）関係は人間が人間として負の側面を改めない限り続く。

　美くみえてもきたなく見えても極端（きょくたん）である以上は個人で受け取り方がちがうだけ。

　そして多数派（たすうは）の前では誰もなにも言えない。

　記録はここで終わりにしよう。

　あとは好きな店で強くみせるくらいしか生きる道がない銭ゲバたちをふたりで笑いながら馬鹿にしてやる。

　負け犬の遠吠（とおぼ）えほど限られた場所でしかはきだせないんだから勝ってると思い込んでるヤツらは笑って無視（むし）してくれ。

　もう現実だけはわかりきってるから。