22 適性試験で圧倒的な結果を叩きだす
「へへ、お前の番だぜ。まあ、せいぜいがんばりな、優男」
ガザンは馬鹿にしきった顔で俺を見下ろしている。
「うーん……ちょっとだけ本気出しちゃおうかな」
「がんばれよ、ゼル!」
と、後ろからミラの応援が聞こえた。
背中越しに彼女に手を振り、俺は魔導機械の前に立つ。
ガザンは武闘家だからパンチを食らわせたけど、俺は剣士なので剣を使う。
とはいえ、鉄の剣を使ったら赤い人型を切断しかねないので、代わりに木剣を使うように指示された。
「ん……やるか」
木剣を振りかぶる俺。
「【上段斬り】!」
そしてスキル発動。
やりすぎないように手加減はしておいた。
……全力でやると装置が壊れるかもしれないからな。
ごうっ!
風を切って振り下ろされた木剣が、赤い人型に命中する。
ごがああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
すさまじい爆音が響いた。
「あ……や、やりすぎたかな……?」
赤い人型はどうやら壊れなかったようだ。
すごい音がしたから心配したけど、よかったよかった。
「え? あ? ええええええっ……!?」
と、受付嬢が驚きの声を上げる。
「こ、攻撃力……Sランク……!?」
おおおおおおおっ……!?
周囲がざわめいていた。
Sランクか……さすがに今までの鍛錬と成長の成果は伊達じゃないらしい。
「ば、ば、ば、馬鹿な……お、お前みたいなガキが、どうして……!?」
ガザンが呆然とした顔で俺を見ていた。
「ありえねぇ……い、いや、認めねぇぞ! どうせインチキしたに決まってる!」
「えっ」
「どう考えても、俺様の方がパワーがある! 攻撃力だって桁違いのはずだ!」
言うなり、ガザンがいきなり殴りかかってきた。
俺の方がランクが高かったから、メンツをつぶされたと思って逆上したのか?
「【弾く】」
俺は奴の拳を見切り、その一点を右手で軽く弾いた。
「うおっ……!?」
それだけで奴は大きくつんのめり、投げ飛ばされた。
「がはっ」
「俺はインチキなんてしていない。公正に測定した結果に文句を言うのは格好悪いだけだぞ」
倒れたガザンを見下ろす俺。
「ぐぐ……」
「こう見えても鍛えてるんだ、はは」
「うぐぐぐ……」
ガザンは俺をにらみつけ、
「くそっ」
悔しげに舌打ちして、足早に歩み去ろうとする。
「あ、あの! まだ測定は終わってないのですが――」
「うるせぇ! こんなことやってられるか!」
戸惑う受付嬢にそう言い捨て、ガザンはその場からいなくなった。
「失礼いたしました。ええと、ゼルさんは測定を終えましたのでお下がりください」
と、すぐに気を取り直して進行を続ける受付嬢。
動揺からの立ち直りが早い。
さすがに冒険者ギルドの職員は、ああいう荒くれ者の類にも慣れてるのかな。
俺は感心してしまった。
「それはそれとして――攻撃力Sランクか」
冒険者のSランクって、どれくらいの強さだっけ……?
確かSSRカードにSランク冒険者のキャラがいたような気がするけど――。
「俺、結構高いランクに登録されたりするのかな?」
「他の測定も見た後になりますが……いきなりAランク認定もありますね」
俺の問いに答える受付嬢。
「っていうか、Sランクの攻撃力があるんなら、Sランク冒険者じゃねーの?」
たずねたのはミラだった。
「いえ、認定の上限はAランクなんです。Sランクと言うのは指定された超難度クエストをクリアしたり、その他に特筆級の活躍をした方が例外的に認定されるものなので……」
受付嬢が答える。
「ちぇ。だったら、どんなにすごい成績残しても、Aランク止まりかよ」
ぽりぽりと頭をかきつつ、前に出る。
「次は俺にやらせろ。ゼルにあんなの見せられたら、黙ってられねー。エースは俺だ」
――そして。
「いっくぜぇぇぇぇぇっ! 【双竜爆閃】!」
ミラは二本の剣を目標に叩きつけた。
ぐごぉぉぉぉぉんっ!
ものすごい音が響き渡る。
「こ、攻撃力……Aランク……!?」
「へへっ、どうだ! ――って、Sじゃないのかよ!?」
ミラは一瞬得意げな顔をした後、抗議するように叫んだ。
「は、はい、攻撃力の数値は約30000……Aランクの範囲内です」
と、受付嬢。
「数値があるのか……さっきのゼルはいくつだったんだ?」
「100000以上です」
「……そ、そう」
ミラの顔が引きつった。
あ、かなりプライドに障ったみたいだ。
「ま、まあ、あくまでも測定だから。実戦じゃないから。な? な?」
「ぐぬぬぬぬ……」
俺は悔しげなミラをなだめた。
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