第51話

だけど今日、コウ先輩のあの一言で、一気に忘れ掛けていたあの日々が頭の中に甦ってきた。







そう、わたしは歌うことが好きで。


グレーのパーカーの彼が気になっていて。


出来れば、あのままの日々を送っていられたなら───今でもあそこで歌っていたかった。







そんなわたしを、どうしてコウ先輩は知っていたんだろう。


ひょっとしたら、どこかから見ていたんだろうか。

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