真っ白になりたくて

灯火(とうか)@チーム海さん

第1話

 




 真っ白になりたくて






 穢れのない、白い君。




 ただ、笑ってた君。




 純粋に、笑う君。




 戻りたいな、その君に。






 もう、真っ黒になった僕を。




 ただ、吠えるだけの、負け犬を。




 君は、笑って、見つめている。




 ただ、笑う君を。




 僕も、見つめている。








 ×+×+×+×+×










 ふと、顔を上げる。




 そこには、TVに映った、君がいた。


 真っ白なフリルに包まれて、軽快な笑顔で笑う君が。




 そっと、顔を下げる。




 そこには、僕がいた。


 真っ黒なスーツを見に纏い、ぎこちなく動く自分が。




 本当に、嫌になる。眩しくて、掴めない君は、いったいどれだけ遠くに行ってしまったのだろうか。




 あれほど近く、手を伸ばせば届いた君は、もういないのだろう。




 少し、空が濃く感じた。




 果てしなく……




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年9月22日 17:00

真っ白になりたくて 灯火(とうか)@チーム海さん @UMIsandayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ