「狸」」「手紙」「お月見」

顔見知りのたぬきから、 お月見の案内状が届いた。 手漉きの和紙。 淑やかな筆文字。 丁寧な筆記の中に、 1年ぶりのお祭りにそわそわと沸き立つ彼女の踊る心が見て取れた。 きっと、顔を綻ばせてこれを書いてくれたのだろう。と思い、僕も自然と顔が緩んだ。 締めの挨拶。 ぎゅうっと押された肉球。手紙をめくる。追伸には、 小さく、 おずおずと書かれた手土産のリクエスト表。 毎年のことだが、彼女の愛らしさに吹き出してしまった。

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