300字以内の短い小説
花踏 芽々
「猫・神様・月」
猫がいました。さび柄の可愛らしい猫です。猫は玉遊びが好きでした。なので、猫は飼い主である神様におねだりをしました。
「ねえ神様。まあるい、まあるい、美しい玉と遊びたいのです」
猫の頼み事を断れる飼い主などおりません。それは神様だって同じこと。神様は、猫が欲しがる玉をすぐに用意しました。まあるい、まあるい、美しい玉を。
空から満月が消えた、と侍従に火急の知らせが入ったのは、ちょうど猫が玉遊びに飽きたころでした。
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