第1話「🍁ハロウィンは秋色おうちごはんでほっこりといきましょ🎃」ジャンル:恋愛

 秋桜麻梨奈-あきさくら・まりな-

 二十歳の女性、このおうちごはんの機会に幼馴染の剛に告白しようとしている。


 秋桜麻梨奈・AIイメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330664277059495


 坂下剛-さかした・つよし-

 二十歳の麻梨奈の幼馴染、麻梨奈の家でおうちパーティーをすることになった。


 坂下剛-さかした・つよし-・AIイメージイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818023212908457427




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 今日は、ハロウィン前日、10月30日。私、秋桜麻梨奈あきさくらまりなはハロウィンに作る料理の買い物から帰って来て、いそいそと冷蔵庫に食材をしまっている。

 明日は、幼馴染の坂下剛さかしたつよしと、おうちパーティをすることになっていた。




 ローストビーフのような少し、奮発した料理も考えてみたが、剛の好物の素朴で味わい深い料理にしようと決めている。

 この二人は、これまで付き合った人がいないくらいのモテない歴=年齢の二人だが、その他にも訳があった。



 麻梨奈は、焦げ茶色のボブカットで、小柄の見た目ゆるふわ系女子、剛は亜麻色あまいろの短髪で、文系男子タイプ。

 決して、モテない要素が全くない訳ではないのだ。

 麻梨奈は実は、これまで男性に告白をされなかったのではなく、幼い頃からずっと、剛のことが好きでこの機会に告白しようと考えているのだ。


「明日のメニューは、秋色で安心できる物がいいよね。炊き込み御飯と南瓜のサラダと鶏の唐揚げにしてと、食後のスイーツは、渋皮付のモンブランにしたしね」

 彼女は、洋菓子店サンドリヨンシンデレラで買った、モンブランを嬉しそうに眺めて冷蔵庫の扉を閉めた。





 ****☆+☆+☆****


 10月31日、ハロウィンの日。

 麻梨奈は夕方に仕事から帰宅して、料理をしながら、剛が来る時間まで待っていた。

 その日、彼女はお洒落しゃれをして白のブラウスと紅葉色もみじいろのロングスカートでコーディネートしていた。


 そのうち、インターホンの電子音が鳴る。

「はいは~い」


 麻梨奈は、玄関の除き穴から外を見ると、仕事帰りで紺のスーツ姿の剛が立っているのが見えた。

「いらっしゃい。さあ、入って」

 麻梨奈はドアを開けて、剛を迎え入れた。


「お邪魔します、おっ、麻梨奈その服似合うな」

「ありがとう、嬉しいっ」


 麻梨奈は頬を染めて喜んでいる。

 剛は靴を脱いで、彼女と洋間に行った。


 テーブルには、鶏の唐揚げ、南瓜かぼちゃのサラダが並べられていた。

 揚げたての唐揚げの良い匂いが部屋に漂う。

「おーっ、美味そうだなっ。さすが、麻梨奈」

「ありがとう、さっ、炊き込み御飯もあるから手を洗って来てね。」

「おう、楽しみだな」




 剛が炊飯ジャーから、二人分の炊き込み御飯を御飯茶碗によそい、食卓に持ってきた。

 既に麻梨奈が、即席の松茸のお吸い物を作っていて、お椀の中でほこほこと白いゆげを立てている。


「今日はありがとな、いただきます」

「こちらこそね、いただきます」

 二人はそろって、手を合わせて食べ始める。


「炊き込み御飯美味い」

「うん、しめじと油揚げ、人参、鶏肉も少し入ってるよ」


 熱々の炊き込みご飯を頬張りながら、唐揚げを頂く。

 皮つきの唐揚げで、外はパリッと仕上がっており、噛むと中から肉汁が溢れる。

 南瓜のサラダは、マヨネーズと、プレーンのヨーグルトで和えたサラダだ。


「なかなか、まろやかで美味しく出来たよ」

 麻梨奈は、剛にサラダを器に取り分けながら、微笑む。

「ありがと」


 サラダを箸で口に運ぶ、剛。

「本当だ、これも美味いっ」

 麻梨奈と剛は、食事が終わると、モンブランを持って来て食べ始めた。


「くう~、この渋皮のモンブラン。食後なのにするっと入るなあ」

「でしょ~、ここのケーキ甘さ控えめだしね」





 ****☆+☆+☆****


 スイーツも、食べ終わった麻梨奈と剛は、キッチンで一緒に片付けをして食器を洗っていた。


「なあ、麻梨奈……」

「なあに?」

「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ」


 両手をあげて、にやにやする剛。

「ええっ、あれだけ食べてまだ、食べるの?ぼうドラマの俳優みたい!」


 麻梨奈はびっくりして、目を丸くした。

「もう駄目、太るし、お腹壊すよ!」

 彼女が、渋い表情で苦笑すると、剛は悪戯いたずらっぽく笑い。


「じゃ、イタズラ決定!」

「えーっ、ひど~い」


 麻梨奈が困りながら、食器を拭いて食器棚に片付け終わると剛は、麻梨奈の指に自分の長い指を絡めて来た。

「えっ、なになに」


 心臓がとくんと甘い鼓動を打つ。長身の彼が、麻梨奈を壁に寄りかからせて、片手を壁に付ける。

 甘い雰囲気の中、剛の顔が近づいてくる。ゆっくり、ゆっくりと…。



「―――麻梨奈、すきだ。幼い頃からずっと、俺と付き合ってくれ」

「それ……私が、言おうと思ってたのに、ズルい」

「先手必勝、じゃ、両想いってことで」



 剛がにこっと微笑み、麻梨奈の額に口づけをする。

 窓から差し込む、杏子色あんずいろの夕陽の中で、剛と麻梨奈の唇が重なる。

 そんな二人を見守るように、ハロウィンの南瓜頭カボチャあたまのお化け、ジャック・オ・ランタンの人形が、カタカタと揺れていた。



 -終わり-


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