崩壊へのカウントダウン 2

 翌日、城の会議室にアルベリク達はいた。

 そこにはユリアスと…茶髪の若者もいた。しかしミア達は茶髪の若者が見えてないのか座ってるだけのユリアスを眼の敵にして睨んだり嫌な質問、発言をぶつけていた。

 そんな事をされても冷静に答えるユリアス、エリスは冷や汗を垂らして…この時間が終わる事を願ってた。

 一方、アルベリクとエルネストは…ずっとレグユアスに和平交渉について話していた。レグユアスは面倒だと思ったのか適当な発言ばかりしていた。しかしアルベリクは顔色を変えずに続けた。それが気に入らないレグユアス…

 

「もう一度言うフィリスタル王、俺はこの交渉は破綻したモノと思ってる。何故こうなったのか、俺個人としては交渉条件を変え和平を維持したいと思い此処に来たんだ。いい加減な回答は止めてもらいたい」

「チッ…(皇太子が生意気な…黙ってワシの言葉に応じれば良いことを)」


 王妃は何も言わない…ルアンはミアの手を握り何もしてないユリアスを睨み付けた。


 …結局交渉は決別…

 アルベリクは和平交渉書をレグユアスの目の前で魔法で燃やし炭にした。

 ミア達は目を見開いて驚いた。リアムはアルベリクの胸元を掴み怒り罵倒した。


「テメェ!どういうつもりだ!」

「どうも何も、そちらが真面目に答えないから交渉は破綻したんだ。何故被害者面をする、勝手に交渉条件を変え、此方に魔物使いを送り攻撃してきただろ!」

「はぁ!?そんなのしてねぇ!」

「嘘をつくな、僕らは知ってるぞ」

「子供は黙ってろ!オレらがやったって証拠は!」

「ある」

「ふざけんな!」


 リアムはアルベリクに殴りかかろうとしたが、レグユアスが止めた。


「止めろリアム」

「だが!」

「止めろと言った!口答えするな!」

「っ!!」


 王家の崩壊は既に始まってる…こんな時まで王妃は見てみぬ振りをしていた…。


「先程から戯れ言を口にしおって…勝手に交渉を破綻し戦争を起こすつもりか!」

「あぁ、そのつもりだ」

「はっ、例え大陸一の戦力を持つ帝国でも我々には多くの国が力になってくれる。お前の国など簡単に滅ぼせる」

「……」


 馬鹿すぎる…馬鹿を通り越して幼稚すぎる…腹立ったから和平を解消して戦争をしましょうだなんて…アホみたいだ。


 自分が少し離れてる間に…ここまで落ちぶれてしまったのか…


 来たのが若いアルベリクとエルネストだったから舐めた態度をしてるレグユアスとリアムに反吐が出そうだ…早くこの場を去りたい。


 結局…話し合い所で無くなり解散した。

 レグユアスはアルベリク達に見せつけるように兵士を呼び戦力を集めろ、他国に戦力要請をするよう命じていた…自分の力で戦わないなんて恥ずかしい…国王として終わってる。

 この日はミアに捕まらなかったのでエリスと共に部屋に戻れた。


 ☆★☆★


 この日の夜、エリスとユリアスは兄弟の部屋を訪れ今後の事を話していた。


「まかさここまで腐ってる国だっとは…明後日攻撃をするようですが…兄上どうします?」

「我が国が負けるはずが無い。此方も連絡をしてある、問題はユリミア王女だ」

「そうですね…ユリアス王女、どうするの?もう時間が無い…明日にでもやらなきゃ手遅れになるよ…」


 エルネストが不安そうに言ったが…ユリアスは笑って答えた。


「ご安心を、明日の夜、王家はパーティーを開くでしょう。我が国の勝利を願う…馬鹿みたいなイベントをね…

 そこで私とエリスがやります。お二人は戦う準備を」

「わかった…」

「明日やるんですね…ユリミア王女殿下の力を聖力で封印すれば良いのですね?」

「もう元凶の魔女…いや巫女は成仏したから力はミアの中だけになってる。かなり強いモノだろうから消し去る事は出来ないかもしれない。でも封印してくれれば…それで良い。後は私がやるから」

「っ…わかりました…」


 エルネストが言うにはローレントは今日の夜中に来るらしい。彼に直接伝えるのは難しいだろう…

 とにかく今は明日に備えよう。


 ユリアスとエリスは部屋に戻って行ったの。

 ユリアスは指人形を手にして解れた所を直した。エリスに少し手伝ってもらい、聖力をちょっとだけ入れてもらった。同じようにシルヴァの青いリボンにも入れてもらった。


 ★☆★☆

 翌日

 アルベリクとエルネストは、ユリアスの瞬間移動で城に戻り戦争の準備をした。城に戻ってくる用の魔法石を持たせてるのでパーティーまでには戻って来れる。


 夕方

 エリスとユリアスはメイド達に着替えさせられてた。これらは持ってきてたドレスとアクセサリーだ。

 着飾ったエリスとユリアスはパーティー会場に案内された。

 ホールに入るとその場にいた全員がを見た。エリスはユリアスの侍女と思われてるようだ。聖女とバレてなくて良かった。

 そして…2人の後ろを茶髪の若者と子ギツネが歩いていた。誰も気付いていない。


 ユリアスの登場にざわつく人々


「何故あの者がいる」

「出戻りか?」

「噂じゃ彼方でも良い扱いされてなかったそうだ」

「あの侍女も監視役か」

「相変わらず不気味な人ね」

「恐ろしい…」

「帰ってきた日にまたユリミア王女殿下を虐めたそうだ」

「まぁ!酷い…悪女だわ」


「(ホント…何処までも腐ってる国ね…)」


 ユリアスとエリスはレグユアスに頭を下げた。彼はユリアスを無視して開会の合図をした。


「明日の戦争は我々の勝利で納めてくる!我々の勝利だ!勝利した暁には裏切り者の首を掲げようではないか!」

「「おぉ!!」」

「「素晴らしい!!」」


「っ!…(実の娘になんてことを!ユリアス様…)」

「(そんなこと出来ないわよ、アンタ達全員…終わるんだから)」


 娘と…人間と扱われない事は何時もの事だ。ミアはクスクスと嗤ってユリアスを見ていた。

 でも簡単にはやられないのがユリアス、ミアの嫌がらせなんて余裕で対処出来る。


 この空間で誰よりも高貴で名誉ある存在のユリアスを侮辱するだなんて…古龍のクレイが激怒するだろう…いや、もうしてるかもしれない。


 ユリアスはレグユアスを無視して頭を上げホールの隅に移動した。

 何も言ってこない彼女を気味悪がったレグユアスは舌打ちをした。


 そしてパーティーが始まった。

 皆がリアム達に笑顔で話しかけたりしていた。対するユリアスは…アルベリク達が戻ってきてない事に少し焦っていた。


「(パーティーはもう始まってる…私がミアを、王族を懲らしめるまでに戻ってこないと計画が失敗するわ)」

「…!ユリアス様…」

「!!」


 考え込むユリアスの隣で…真剣な顔になったエリスが呼んだ。彼女が向く方を見ると…嫌な笑みを浮かべたミアがこっちに来ていた。


 あぁ…また茶番劇を始めるのか

 しかしミアが思い描く茶番劇は起こらない…絶対に!



 これより…フィリスタルの崩壊劇が始まる…

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