メセタが喜んでいる様子を見ながら、俺もホットケーキを一口食べる。ふわふわでモチモチ、そして甘いシロップがバターと絶妙に絡み合って、口の中に広がる幸せ。自分でもうまく作れたと思うし、こうして異世界でも慣れ親しんだ味を楽しめるのは嬉しいものだ。

「これで異世界でも簡単なお菓子作りも楽しめるな」と俺は満足げに言うと、メセタが感動した様子で言葉を返してくる。「我が君、あなた様の技術と知恵には本当に驚かされます！わたしもこんなにおいしいものを食べたのは初めてです！」

「大げさだよ、メセタ。ホットケーキなんて、簡単に作れるおやつだし。でも、そう言ってくれると作った甲斐があるよ」と俺は笑いながら答える。

雨がまだしとしとと降り続いている外を見ながら、しばらくメセタと静かな時間を楽しんだ。ホットケーキを食べ終わると、メセタが少し不安そうに顔を上げる。「我が君……ひとつ気になることがあるのですが……」

「ん？どうした？」俺が問いかけると、メセタは真剣な表情で続けた。「この能力、どんどん願うたびにいろんなものが出てくるでしょう？それは便利なのですが、もしかしたら何か対価が必要なのではないかと……」

「対価？」俺は少し驚いたが、言われてみれば確かに、いろんなものを出せるのはいいけど、それに伴う代償があるのかもしれない、と考え始めた。

「わたしたちの世界では、強力な魔法には必ず何かしらの対価が伴います。たとえば力を使いすぎれば身体に影響が出るとか、魂を削るとか……」メセタは心配そうに俺を見つめる。

「なるほど……でも今のところ特に身体に異変はないし、何か削られている感じもしないな。でも、気をつけたほうがいいのかもな」と俺は考え込む。

「そうですね、少し様子を見ながら使っていくのがいいかもしれません。何か異常があったらすぐに知らせてくださいね！」メセタは心配そうに言うが、俺は笑って答えた。「大丈夫さ、気をつけながらやっていこう。」

その後、雨が止んでから畑の様子を見に行った。雨がちょうどいい具合に土に染み込み、トマトやきゅうり、他の野菜たちがしっかりと根を張り始めていた。まだ収穫までは遠いが、これから育つのが楽しみだ。

「さて、次は何をしようか……」と、俺は異世界での生活に少しずつ慣れていくのを感じながら、新たな一日を迎える準備を進めていくのだった。

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