『帰るところがない鏡』
あ、あの頃…い、家にも学校にも居場所…無くて。
う、裏山で…鏡の中の自分を…、その…と、友達にしてたんです…。
へ、変ですよ…ね。
吃音混じりに、スカートを掴みながら長い前髪越しに彼女は絞り出した。
か、鏡の中の自分になら、す、すらすらと物が言えて……
「どんな話を?」
「この根暗!不細工!蛆虫!」
怒鳴り出した彼女に面食らった。
「鏡に映る自分を、罵倒してました。それが、唯一の友達だから……」
「私が両親からされてるような罵倒をするとすごく怯えるんです鏡の中の自分って同じ姿形なのに反応が全然違うんですよね私はもう何も思わなくなっているのに不思議ですよね顔が同じってだけで別人なんでしょうか」
「だから私なのにわたしがとてもみっともなく思えて私はそんなんじゃなかったってだから割ったの別人だからいいと思って」
彼女は一旦言葉を切り、続けた。
「だから私、もう両親も実家のことも覚えてないんです」
暗裏/酢豆腐/芝生/花豆
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