それっぽい書き出し編
堅乃雪乃
とある朝
今日もまた何気ない朝をけたたましいアラーム音と共に迎えた。
最近、この音を聞くだけで妙に腹が立つようになってきた。
自分を小馬鹿にするような、嘲笑うかのような音。
買ったばかりの時に、「良いな」となんとなく設定した意味のわからない音楽なのだが、普通に嫌気がさしてくる。
もしやアラーム音を、例えば嫌いな上司の声、などにしたらもっと嫌いになって、すっと起きられるようになるのではないだろうか。
いや、流石にそれは仕事に直接影響しそうだからやめておこう。
せめて、早くトイレから出ろ!、と私の優雅な休憩時間を奪ってくる清掃員のおばちゃんの声にした方が良いか。
くだらないことを考えながら、いや、くだらないことを考えなければやってけないこの社会人生活ではあるが、重たい身体をぬっと起こした。
部屋に置いてある手動の木製カレンダーは、もう二ヶ月以上動いていなかった。
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