第5話 ワーウルフ

スライムパパを倒した俺は、スライムの子供たちにワーウルフの居場所を教えてもらった。


「父ちゃんを倒したお前たちに恨みはあるが、仕方なく教えてやるぷる。

 ワーウルフの居場所はここぴき。」


村のはずれである。


俺は村人に借りた服を嫁に着せ、ワーウルフの居場所まで移動した。


---


目的地に着くと、ワーウルフの集落があり、ワーウルフが群れていた。

すると、その中心にいたワーウルフがこちらに向かってきた。


「ワーウルフの長はお前か!」


ワーウルフは人間と狼を合わせたような見た目をしている。


「ああ、だったらなんだ、人間。」


「スーラデールの村の人々が困っている。

 スライムをそそのかし、村を襲わせたのはお前だな!」


「ああ、そうだ。」


「なぜだ!」


「近ごろ、悪魔族の縄張りが近くまで広がってな、我々のエサとなる動物が遠くへ移住してしまったのだ。

 それで食糧不足になってな。

 仕方なく、人間の村を乗っ取り、作物を奪おうと企てたのだよ。

 スライムはその偵察部隊として送ったまでのこと。」


ワーウルフの長は続ける。


「この世は弱肉強食。

 弱者から奪って何が悪い?」


「それはその通りだな!

 では、俺はお前よりも強者だ!

 だから、俺はお前からスーラデールの村を奪い返すまで!」


「ほう、人間風情が。

 なめられたものよ。」


ワーウルフの長がとびかかってきた!


俺はすぐさまライラの後ろに隠れる。


そして、ライラがワーウルフにとびつき、動きを止めた。


そのすきにエレノアがワーウルフめがけて拳銃を発砲した。


バンバンっ!!!


ワーウルフの長は血を流し、倒れた。


「け、拳銃だと!?

 そんな速い弾、よけれるわけ・・・ない・・・ずるい・・・ぐふっ。」


補足しよう。この世界において、拳銃はかなり高級でかなり強い。


「やった! よくやったぞ、ライラ、エレノア。大好き!!!」


すると、1人の美少女ワーウルフがとことこやってきた。

茶色いもこもこの毛、胸は大寄りの中、人懐っこそうなかわいい目つきだ。


「私、ワーウルフの長の娘ルナです。

 代々、長を負かした相手に嫁ぐことになっております。

 しかし、そちらの青髪の方は女性。

 どうしましょう? わんっ!」


語尾のわんっ!、かわいい・・・。


「ああ、青髪がエレノア、赤髪がライラね。

 どっちも俺の嫁だ!

 俺はオロチ。

 うーん、どうしようね?」


「そうでしたか!

 では、エレノアさんの主人はオロチさんということで、私はオロチさんのお嫁になります!

 でも、もうお2人お嫁さんがいらっしゃるのですね。

 私はお嫁になれますか?」


な、なんですとーーーー!

こんな美少女もふもふっ娘が嫁に来るとは、なんという棚ぼた的展開!


「そ、そうか。

 こんな美少女を嫁にもらえて、俺はなんて幸運なんだ!

 ぜひ、結婚しよう!」


こうして、俺は第3の嫁ルナをめとることとなったのだ。


その夜、ワーウルフ式の結婚式が行われた。

キャンプファイヤーを囲んでみんなで踊るのだ。

しかし、食糧難ということもあり、食事は質素なものだった。


「エレノア。

 この食糧難、どうにかならないか?」


「よくぞ聞いてくれました。

 そんなのお安い御用ですわ。

 私の財力で、保存食100年分、差し上げましょう!」


「えええ!そんなにくださるのですか!わんっ」


「もちろん!

 ルナちゃんはもう私の家族。

 その一族の方々を救うなど、当然のことでしてよ!」


さすがは俺の最強嫁!頼れる痺れる憧れる!


エレノアは最新の通信機(これも超高級品)を取り出し、何やら話しだす。


「パパー?

 ワーウルフ100人分の食糧、100年分用意しといてー!

 以上!」


「なに? エレノアの頼みならば仕方あるまい。

 それで、最近はどうだ、元気にやっt」


ブチッ


父には塩対応のエレノアである。

かわいそう、ゴールドマン・・・。

それでも、娘には甘くしてしまうゴールドマンであった。


「ありがとう、エレノア! これで一族は100年も安泰! スーラデールを襲う必要もなくなった!わん!」


ルナはしっぽをフリフリしている。


この夜、俺とルナは集落の一室で初夜を迎えた・・・。


かくして、俺はスーラデール村とワーウルフ一族を救い、3人目の嫁ルナをめとったのである。

スライムが一番かわいそう・・・。

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