第30話 エデンの恋人 ⑤
『まだ・・・。』
気力を振り絞って真っ赤に腫れ上がった全身で立ち上がった。
どちらにせよ、もう果ててしまうのは時間の問題であった。
せめて、この競泳用の水着の胸元の柔らかさを、この手で、この顔全体に記憶させながら果てたかった。
『我欲・・・。』
自分勝手な都合だが、ただそれだけだった。
鬼の情念などは関係がなかった。
果てる前に、自分自身で満足したかったに過ぎなかった。
僕はスケベ心を全面に押し出しながら突進していった。
僕の体に煮えたぎるロウが、魔物の頭部から僕にこぼれ落ちてきていた。
かろうじて顔にはかからなかったが、ジュッと音がする程の熱さ、、、いや痛みが僕を襲った。
前進を止めた僕の股間を魔物のハイヒールが蹴り上げていた。
僕は股間を抑えながら悶絶した。
身体の前面である胸の部分に掛かったロウが、冷えて収縮しだすと、火傷で爛れた皮膚を巻き込んでその部分だけが、ひねり上げられるような痛みが襲いかかった。
「ギャーッ!熱っ・・・!」
「うわ~〜っ、、、い、痛い〜!」
僕は全身の痺れと、股間の痛み。
そして、痺れの中で胸をつねりあげられるような甘い痛みの中で、ドクリ、ドクリと精を放っていた。
ロウソクの魔物がくるりと背を向けた。
「待てっ!」
僕は慌てて叫んだ。
『待って欲しかった。』
「お前を救いに来たんだ!」
『もう一度、逝かせて欲しかった。』
口から飛び出す僕の意思と、僕の身体が求める快楽への渇望が、まるで噛み合っていなかった。
聖剣は果てたばかりだというのに、新たな快楽を求めて、いつもよりもそそり立っているように思えた。
「お前は、この世界の住民ではないだろう?」
ロウソクの魔物が、振り向いて僕に問いかけてきた。
どこかで聞いたことのある声だったが、まるで見当がつかなかった。
話の途中で頭部の仮面に乗っていたロウソクの火が燃え尽きた。
「あーぁ、 消えちゃったみたい。 君にかけたのが一番熱かったと思うよ。〇〇くん。」
スーッと仮面を持ち上げると、そこにはいつも出席を取ってくれる小動物のように可愛らしい 〇〇先生が立っていた。
「あっ、〇〇先生・・・。」
よく見れば立ち姿は同じだが、衣装が変わるだけで、これほどまでに違うものであるのか。
そこに立つ女性は優しい声に反して、凶悪な武器を有していた。
「うふふ。君は、また逝きたいんでしょ?」
しっぽの1本が僕の顔をバチンと叩いた。
「ほら、ほら、ほら!」
バチン、バチンと尻尾の手の平が僕に襲いかかり、僕の身体が痺れて天に昇っていくようだった。
僕の身体が、何度でも逝きたがっていた。
「でも、誰も私を満足はさせてはくれないのよ。」
顔面や全身への平手打ちで、僕は〇〇先生の足元にひれ伏した。
「舐めてもいいの、よ。」
先生の赤いハイヒールが僕の目に飛び込んできた。
言われるがままに、僕はつるりとしたつま先に舌を這わせた。
「とても上手よ。 委・員・長。」
不意に蹴り上げられて、仰向けの犬の姿になった僕の股間を、先生はハイヒールで容赦なく踏み潰した。
聖剣の根元、肛門に接する部分にその尖った踵を押し当て、グリグリと押しつぶしてくる。
「ぎえ〜っ!」
僕の叫びの中には、甘く蕩けていくような音色が和音となって苦痛と一緒に響いていた。
先生にいじめられるほどに、僕の内部に揺らめく快楽の波が、小さく、小さく、そして一気に、全てを呑み込む程の激しい感覚が荒波の海のように襲いかかってくる。
「一体、誰を守るんだって・・・?」
「えっ!」
「誰を救うんだって・・・?」
「ええッ!!」
「ぐはぁ〜ッ・・・くぅ・・・」
「あぅぅ、あぅ、あぅっ〜!」
先生が足に力を入れるたびに、連続して果てる感覚が湧き上がってくるが、実際には果ててはいなかった。
「ほら、気持ちがいいでしょう?私がいじるだけで、あなたは求めるままに、何度でも逝けるのよ。」
「ほら、ほら、ほら!」
僕の脳天に、再び大きく果てるような感覚が突き抜けた。
その後で、小さい感覚が2度、3度と余波のように押し寄せてくる。
再び僕の全身が小刻みに震えた。
虚ろな目で先生の顔を見上げると、こんなにも僕をもて遊んでいるのに、どことなく充実感や楽しさから離れている感じがした。
「うぅ〜、 先生・・・。」
「どうか、どうか、僕にも、先生を、満足させてもらえないでしょうか。」
立て続けの快感に涙目になりながらも、僕は先生の瞳を見つめた。
そう言っている最中にも、僕は何度も快感が襲い精を果たせずに果て続けていた。
「どうやって!?」
身体の奥に電気あんまの刺激を与え、聖剣を踏み潰しハイヒールの先端を陰部の奥の快楽の泉に的確にねじ込まれている。
先の尖ったヒールはさらに奥へと強くねじ込まれた。
「あぎゃぁ〜!!・・・。」
「・・・・・・。」
丹田から湧き上がる痛みによるあまりにも程度を知らぬ快楽に、数秒白目を剥きながら腰をガクガクと震わせて、僕は聖剣の先端からじわじわとサラサラとした透明な液体を溢れさせていた。
果てられないのに果てた感覚のみが連続する、極楽のような地獄の感覚に落ちてから、僕は初めて先生の激烈な責め苦から解放してもらうことができた。
数秒で目を覚ました時、先生はソファーに腰を下ろし、黒いエナメルの足を組みながら、転がる僕をゆったりと見下ろしていた。
「で・・・?」
「・・・私をどうしてくれるの?」
今までで一番楽しみにしているような先生の表情だった。
僕はソファーに座り、先生の方に手を回しながら口唇を奪った。
先生も僕の舌を受け入れてくれている。
口唇が離れ、唾液が二人の間で垂れ下がりながら下に落ちる。
「で・・・?」
お子様の児戯に楽しみの続きを求めるように僕に問いかけてくる。
「服を脱がせてもいいのよ。」
ゾクリとするほどに甘美な響きだった。
僕はソファーの下に跪いてヒールを脱がせた。
エナメルの艶やかなストッキングのピッタリとした感覚が、僕の興奮を煽っていく。
ストッキングはそのままにして、足の裏からふくらはぎ、太ももに頬を寄せて舐めあげながら僕の身体と聖剣にもその感触を焼き付けて、全身を使って擦り上げていく。
ストッキングの上の競泳水着は、そこから質感が変わり、水着の素材に包まれた素肌の柔らかさと温かさが伝わってくる。
ストッキングから競泳水着まで遡った、お尻も、胸元も通り過ぎた。
僕はもはや興奮の絶頂にいるようであった。
先ほどまで痛めつけられていた聖剣には、エナメルのストッキングでも、競泳用の水着でも、素肌をさらした白い腕にも、触れるだけで身体の芯からの快感がマグマのように噴き上がってくる。
実際には噴き上がる事はないが、自分ではもう、快楽をコントロールできないようになっていた。
肩口から先生の水着を引き下ろしていく。
プリンとした双房がふるふると揺れていた。
さらに下ろしていくと、大人になれば 生えてくると思っていた箇所に産毛はなく、大人の女性の身だしなみのように、綺麗に脱毛がなされていた。
今、先生はタイツを履いただけの魅力的な姿が前面に押し出され、僕に期待を込めるように微笑みながら見つめてくる。
「先生・・・。」
僕が呟くと、仰向けの彼女の下からムチのような尻尾が、しなりながら僕の脇腹を打った。
「名前で呼んで。ねぇ、知ってる?」
「 私の、な・ま・え。」
僕はゴクリと唾を飲み込んでいた。
知っていた。
彼女が担任になったあの日から、その小動物のように可愛らしい行動と愛くるしい笑顔に我を忘れていた。
子供っぽい仕草ではあったが、それこそが僕を惹きつけていた。
先生に似ている子を探し、スクラップブックに貼って先生の名前を呼びながら、ちんちんの先をつまんだこともあった。
「・・◯、◯、・・・〇〇。」
呼び捨てで呼んだ彼女の名前に、僕自身が興奮していた。
名前を連呼しながら彼女を引き寄せて、その胸でに顔をうずめた。
僕は、片手で腹の傷から純白の羽毛を取り出し、先生の背中に這わせた。
突然に背中に感じた柔らかな感触に、彼女は背を伸ばした。
僕は優しく彼女の乳首を求め、つるりとした下腹部へ優しく柔らかく指を這わせた。
指先には、すでに彼女の準備が完了している印が濡れて光っていた。
僕は〇〇先生の瞳を見つめて確認をしたが、そこには満足の表情はなかった。
つづく
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