短歌集 「あの子とか君とか言いがち」

中野半袖

どうせいつかは取り壊すんだと隣の新築に向かって悪態をつく父


毎朝大音量でえづくのにその後何事も無かった顔がむかつく


たぶんそんなに好きじゃ無かったビール飲みながらの野球中継


好きで出してるんじゃないと怒っていたけどじゃあ努力してよ屁


トランクスじゃなくブリーフ派だという負の遺産を継いでしまった


ラフな服装で結構ですという授業参観にガチガチのスーツで反抗する


誰よりも飼い犬の世話をしていたのに死ぬまで威嚇され続けた


大晦日の夕方あたりから年越し蕎麦の講釈を始めるが全員に無視される

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