第13話 黒いドラゴン
黒いドラゴン討伐を決意してからあっという間に一か月の時が経った。ダヴィはふと空を見上げると真っ暗な空には三日月が輝いている。
ダヴィ 「今日で全てを終わらせる」
愛する妻の仇にダヴィの表情はより一層、険しくなる。
エトナ 「そういえばドラゴンの素材は換金してどうします?やっぱり4人分に分けますよね?」
ジョージ 「俺は金も欲しいが本来の目的もある」
フィーネ 「ジョージ様!かっこいいです!ダヴィ様の仇のためにですね!」
ジョージ 「確かに、それもある。だが、本当はドラゴンを討伐したという肩書を手に入れて女性にモテたいんだ!キャーーー!!あのドラゴンを討伐したジョージ様よ~~!ちょっと!ジョージ様はあたしのものよ!なによ!ジョージ様は私の旦那様になるのよ!ってな感じでな!ガッハッハッハ!―――っておい!」
ジョージは1人で妄想し口にしている間に他の3人はダンジョンの中へと向かい歩き始めていた。ジョージは後を追うように走る。
4人は階段を下り続けると地下25層と書かれた文字の階層で止まる。
ダヴィ 「皆、準備は良いか?」
エトナ 「いつでも大丈夫です!」
フィーネ 「作戦通りにいきます!」
ジョージ 「俺の鷹の目を見くびるな。後方からの援護は任せろ」
ダヴィは3人の顔を順々に見えていく。恐れずやる気に満ちた心強い仲間にダヴィは深く息を吸うと吐いていく。
ダヴィ 「いくぞ!」
互いに見合い頷くと奥に長い部屋へと入っていく。ほんの少し歩くと遠目でもミノタウロスの姿が見え4人は息を呑む。
ダヴィ 「エトナ!前線で戦うぞ!」
エトナ 「はい!」
ダヴィは剣を握り、そしてエトナは背中に背負っている斧の取っ手を握り構え走る。
ジョージ 「フィーネの嬢ちゃんは俺と後方で援護だ!」
フィーネ 「わかりました!」
ジョージは背中に背負っていた弓とポーチから矢を取り出し構え、フィーネは腰から杖を取り出す。
座っていたミノタウロスはダヴィとエトナの走る音が聞こえ振り返ると大きな斧を持ち構える。
ジョージ 「お前とは何戦も交えたんだ!くたばれ!牛野郎!」
ジョージが矢を放つとミノタウロスの目に刺さり後ろに倒れむ。
エトナ 「斧の薙ぎ払い!」
エトナは下から斜めに斬るように斧を振りかざすとダヴィは助力をつけ飛躍する。
フィーネ 「ダヴィさん!付与します!
ダヴィが持っていた剣からメラメラと燃える火が灯る。
ダヴィ 「
頭上からミノタウロスの胴体を突き刺す。
「グワァァ———!!」
ダヴィは剣を抜くと紫色の血を流しながらミノタウロスの身体は小さな斑点の光となって宙に舞い消えていく。
ダヴィ 「くるぞっ!エトナ!下がるぞ!」
エトナ 「はいっ!」
ダヴィとエトナは後方で待つフィーネとジョージの方へ向かい走り気を引き締める。ミノタウロスの身体が完全に消滅した瞬間、黒いドラゴンが現れる。
「グワァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
凄まじいドラゴンの咆哮に4人は怯む。ドラゴンは口から大きな火の弾を収束するとダヴィ達に向い放つとフィーネは前に立ち杖を前に出す。
フィーネ 「
フィーネは他の3人の守るようにバリアを展開する。ドラゴンの凄まじい火のブレスに身体ごと押しつぶされそうになる。
フィーネ 「負けて———たまるかぁぁぁぁぁああ!!」
炎に包まれる中、フィーネは叫ぶと身体を前に出し
ジョージ 「ダヴィ、エトナ!嬢ちゃんの事は任せろ!エーテルで手当てする!」
ダヴィ 「あぁ!エトナ!いくぞ!」
エトナ 「ジョージさん!フィーネの事、任せました!」
2人はドラゴンに向い全力で走ると飛躍しダヴィは剣で胴体を斬りつける。
黒いウロコは硬く傷口は浅いが2人はドラゴンの爪を武器で弾きながら攻撃し続けていると氷の矢がドラゴンの額に刺さり怯む。
ジョージ 「ダヴィ、エトナ!嬢ちゃんの手当が終わった!」
ジョージが叫ぶ声が聞こえダヴィとエトナは首だけ動かす。
ダヴィ 「わかった!エトナ!作戦通りいくぞ!」
エトナ 「はい!」
2人は見合い頷くとエトナは立っている位置から横に移動しダヴィは剣を地に突き刺す。
ダヴィ 「剣技・
ドラゴンは額に突き刺さった氷の矢を手で払うと地が真っ二つに割れバランスを崩しエトナは飛躍し斧を頭上で留める。
エトナ 「斧技・
ドラゴンの頭を斧で攻撃すると深い傷になり紫色の血をダラダラと流す。ドラゴンは血を流しながら鋭い爪を出し大きな手でエトナに攻撃をしようと動かす。
ジョージ 「嬢ちゃん!雷だ!エトナが危ない!」
フィーネ 「分かりました!
ジョージが持つ3本の矢先からビリビリと雷を纏いドラゴンに向い放つ。速度は目で追うのも厳しいほどの速さで素早くドラゴンに突き刺さる。
ドラゴンはジョージの放った雷の矢でビリビリとし痙攣する。飛躍していたエトナが地に着地するとフィーネの方へ振り返る。
エトナ 「ありがとう!フィーネ!ジョージさん!」
ダヴィ 「エトナ!気を引き締めろ!相手はドラゴンだ!作戦で言った通り、ドラゴンの弱点は心臓がある胸辺りだ!まずはバランスを崩すために足を狙え!」
フィーネとジョージに対し笑顔で手を振るエトナにダヴィは大声で叫ぶ。
エトナ 「は、はい!!」
エトナは気を引き締め斧を構える。4足歩行のドラゴンの右側はダヴィが繰り出した剣技によって地が割れていた。ダヴィはドラゴンの左足を部分に狙いを定める。
ダヴィ 「エトナ!左足を狙え!右側は俺が出した技で地が割れているからバランスを崩して倒れるはずだ!」
エトナ 「わかりました!斧技・
ダヴィ 「剣技・
2人は前後の左足を反転し勢いで斬りつけるとドラゴンは左足を浮かし右足でバランスを取ろうとよろめくと割れた地に入り仰向けで転ぶ。
ダヴィは助力をつけ勢いよく飛躍すると胸辺りに目掛けて剣を縦にする。
ダヴィ 「これで終わりだぁぁぁあああ!」
胸に目掛けを落下するとドラゴンの口から再び大きな火球を溜める。
フィーネ 「
ジョージ 「させるかっ!弓技・
氷の槍とジョージが放った3本の矢が口に刺さり火球は消えていくとダヴィはドラゴンの胸に剣を突き刺す。
「グアァァァ…アアアアアアア!!!」
ドラゴンは騒ぎ足をジタバタとするがダヴィは更に奥へと剣を突き刺す。次第にドラゴンは動かなくなり4人は討伐を達成した。
ダヴィ 「たお…した…」
ダヴィはドラゴンの上から床に向かい飛躍し着地すると腰から力が抜けていき座り込む。他の3人は脱力したダヴィの元へ駆け寄る。
エトナ 「ドラゴンを倒したーーー!フィーネの
エトナはフィーネの肩に手を回す。
フィーネ 「魔力切れで倒れるかと思ったぁ~~。でも皆を助けるぞ!って思ったら不思議と力が湧いて!」
ジョージ 「ドラゴンはやはり強いな。ダヴィ、30層の赤いドラゴンはこんなに強いのに1人で倒したのか?」
ダヴィ 「いや…。30層のドラゴンは黒いドラゴンよりもっと小さいし、こんなにしぶとくない」
ジョージ 「なるほどな。隠しボスみたいなモンか。んじゃこの倒したドラゴンを収納箱に入れて冒険者ギルドに戻ろうか」
ダヴィ 「あぁ」
ダヴィはポーチから収納箱を取り出すとドラゴンの身体にそっと当てる。コンパクトな収納箱にドラゴンは小さくなりポーチの中へと入れる。
エトナ 「これでお金持ちかー!」
フィーネ 「エトナ。使いすぎちゃダメだよ?」
ジョ―ジ 「俺は今日から若い姉ちゃんからチヤホヤされる日々が始まるのか~~」
ダヴィが
ダヴィ 「な、なんだっ!?」
金の宝箱が現れダヴィは動揺する。エトナ、フィーネ、ジョージは駆け寄り覗き込む。
エトナ 「こ、これは…良い物が入ってそうな宝箱だ!」
フィーネ 「何が入ってるのかな?」
ジョージ 「す、すげぇ…」
3人は金の宝箱を覗き込み息を呑む。
ダヴィ 「あ、開けるぞ!」
3人は頷くとダヴィは輝く箱に腕を伸ばす。箱を開けた瞬間、中身は空でダヴィは突然気を失い倒れる。
エトナ 「ダヴィさん!」
フィーネ 「ダヴィ様!」
ジョージ 「おい!ダヴィ!しっかりしろ!」
倒れ気を失うダヴィに3人は膝を折り声を掛け続ける。
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