第11話 ドラゴン復活
———【現在】
フィーネから喋る箱の話を聞いてから翌日の朝。ダヴィは朝食をモグモグと食べながらキッチンを見つめる。
キッチン前で立つスカーレットの姿が浮かびダヴィの口角が上がり微笑むが直ぐに口角は下がり一直線になる。朝食を食べ終えると喋る箱の真相を確かめにダンジョンへと向かう。
ダヴィ 「確かフィーネの話だと23層だな。そういえばスカーレットと行った時も23層だったっけ」
ふと過去の事を思い出すとダヴィの口元が緩むが直ぐにキュッと引き締まる。ダヴィはダンジョンの中へと入っていく。
階段をひたすら下り地下23層と文字が書かれている場で横にずれ奥に長い部屋へと入る。
奥に長い通路をひたすら歩き続けているとスカーレットが開けてしまった宝箱と同じ場所にまた紫色の箱が置いている。
ダヴィ 「ん…?スカーレットがミミックを倒したはずなのに…。どうして?」
ダヴィは首を傾げると膝を折り箱を躊躇なく開ける。中は何も入っておらずダヴィは空っぽだと確認し閉じようとした瞬間、舌が出始め伸びていく。
ダヴィは剣を鞘から抜き構えると
「お墓に…きてくれない…」
ダヴィは剣を頭上に構え斬ろうとした瞬間、箱の中身は空っぽになる。
ダヴィ 「またか…。とりあえず、フィーネに報告するか」
剣を収めるとダヴィはポーチから
ダヴィ (昨日の喋るボーンナイトいい、箱は何なんだ?何か意図があるのか?)
ダヴィは歩きながら顎に手を当て考え込む。
ダヴィ (な…んで…、お墓に…きてくれない…。そういえば…)
フィーネ 「あ!ダヴィさ~~ん!」
声を掛けられダヴィは顔をあげると、冒険者ギルドの入り口付近でエトナとフィーネは並び手を振る。
そして冒険者ギルドは人で溢れ騒がしくダヴィがドラゴンを倒す前のように賑わっていた。
エトナ 「フィーネの奇妙な話の真相を確かめに行ってたんですか?」
ダヴィ 「あぁ。フィーネの言う通り確かに話してたよ」
フィーネ 「やっぱり!あれは間違いじゃなかったんだ~」
ダヴィの返答にフィーネは安堵する。
エトナ 「それより、ダヴィさん!耳よりの情報が入りましたよ!」
ダヴィ 「何だ?」
エトナ 「ダンジョンにまたドラゴンが復活したんじゃないかって冒険者ギルドの中はその話で持ち切りなんですよ!」
ダヴィ 「復活!?どういう事だ!?」
フィーネ 「ドラゴンを目撃した人物がダヴィさんとお話したいと言ってました。ほら!あそこにいる弓を持った方です!」
フィーネは冒険者ギルドの中で人が輪となって溢れている場所に指をさすとダヴィは入っていく。
人ごみを掻き分けながら歩くと酒を片手間に着席している黒髪の男性と目が合う。
ダヴィ 「何だ!ジョージか!」
ジョージ 「おう。ダヴィ待ってたぞ。まぁ、座れよ」
ジョージに手招きされダヴィは対面に着席する。
ダヴィ 「本当にドラゴンが復活したのか?」
ジョージ 「鷹の目を持った俺に見間違いはねぇ!」
そう話すとジョージはゴクゴクと豪快な飲みっぷりで酒を飲んでいく。
ダヴィ 「赤いドラゴンか?」
ジョージ 「ぷはぁ!いんや、違うね。黒いドラゴンだ」
ダヴィ 「俺が倒したのは赤いドラゴンだぞ?」
ジョージ 「あぁ。分かってる。ダヴィ、あの悲劇の時に現れたドラゴンは何色だった?」
ダヴィは過去を振り返ると心臓音が激しくなる。
ダヴィ 「色までは…よくわからない…」
ジョージ 「そうか…。もしかするとドラゴンは2体いたのかもしれないな」
ダヴィは息を呑む。
ダヴィ 「ジョージ。そのドラゴンは何層にいた?」
ジョージ 「25層だ」
ダヴィは拳をギュッと強く握ると席から立ち上がる。
ジョージ 「そう焦るなダヴィ。黒いドラゴンが現れるには条件がある」
ダヴィ 「条件?」
ダヴィは再び座り翡翠色をしたジョージの瞳を見つめる。
ジョージ 「月が三日月になった時の夜にミノタウロスを倒す事だ。時間帯は0時から日が出るまでの間にドラゴンは出没する。ミノタウロスの額に三日月が無かったか?」
問われたダヴィはミノタウロスに剣を突き刺した額の記憶を遡る。
ダヴィ 「そういえば…額にあったな」
ジョージ 「そう。ヒントはあの三日月だった。何回も出向いたんだ。んで、昨日ようやくドラゴン出現の確証を掴んだ。俺だってあんな、痛々しいお前の表情が見てらんなかったよ…」
ジョージはテーブルの上に持っていたジョッキを静かに置く。
ダヴィ 「そう…か…。ジョージ、ありがとう。次が三日月になる日はいつだ?」
ジョージ 「昨日が三日月だったからな。次はおおよそ1か月だ。お前はこの半年間、家に引きこもりで腕が鈍ってるだろ?それまで鍛えろ。そして俺もドラゴン討伐に今度こそついていく。何もかも1人で抱えるな」
ジョージは席から立ち上がるとダヴィの肩を掴む。
エトナ 「ダヴィさん!僕もいきます!」
フィーネ 「わ、わ、わ、私もいきます!」
ダヴィ 「皆…ありがとう…。それまで作戦を練ろうか」
ダヴィの意見に3人は同調するように頷く。明日、ダンジョン内で各々の能力を互いに確認しチームワークを高める案をダヴィは提案すると、3人は承諾し家へと帰宅していった。
ダヴィは帰宅すると腰につけていた剣を玄関口に立てかけ、ポーチを取っ手の辺りに巻き付ける。
リビングにある椅子に座ると、ダヴィは力強くテーブルを叩く。
ダヴィ 「突然現れたドラゴン———俺はあの時、本当に無力だった!もっと俺がしっかりしていれば!」
テーブルの上にポタポタと大粒の涙が溢れ落ち、拳をギュッと力強く握る。
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