うちの勇者パーティーは少し狂っている。
パスタうた
第一章 始まりの太陽
第1話 思ってた勇者パーティーと違う。
俺の名前は
そんな俺は、異世界転生を果たした。え?話が飛び過ぎやしないかって?そんなことはない、断じて面倒だった訳では無い、断じて。
成り行きとしては、学校から帰る途中に横断歩道を渡っていると俺に気づいていなかった正しく強盗!みたいな感じのテンプレ強盗が乗ったトラックにドッカーンされて、気付いたら正しく城!って感じのテンプレ城に居て、正しく王様!って感じのテンプレ王様が目の前の玉座に座っていた。そして気付いたのだ。あ、これ今流行りに流行っている異世界転生なのでは?と。というか、トラックにドッカーンされて異世界転生するのってマジでテンプレだと思う。
そんな理由で、俺は今テンプレ王様の目の前に居る、3人の男女の後ろに。1人は中学3年生くらいのヘッドホンを首から下げていてスマホを操作する男、2人目は金髪プリンでピアスの穴凄い開いてて風船ガムを膨らましているチャラ男、3人目はオロオロしている眼鏡を着けた女の子だ。あ、女の子だけ普通だ、これ。
「良く来た、異世界人よ」
あ、テンプレ王様喋った。
「……」
「……」
「ぇ、あ、えっと」
「……」
え、これ、どう反応すればいいの?女の子だけだよ言葉発したの。いや女の子も言葉かどうかはわからない感じだけど。
「良く来た!異世界人よ」
え、もう1回言ったんだけどテンプレ王様。
「……」
「……」
「え、えっと、あの…」
「……」
ヘッドホン男はフル無視、プリンチャラ男は王様ガン見してるけど言葉発さず、女の子は相変わらずオロオロしてて、俺はチャラ男と同じ。
「…………良く!来た!!異世界!!!人よ!!!!」
痺れ切らしたな王様、早いよ、これもう少し続けるパターンだろ。
「というか!!もう1人居ないではないか!!」
「し、しかし!召喚魔道具は4人とカウントしています!間違っているはずは…!」
あ、これ、俺見えないパターンだ。え、どうしよ、俺声出した方が良いのか。いや、ここで声を出したら色々面倒なのでは?いやだけど、声出さなかった場合の方がもっと面倒になるよな。えー面倒臭いな、ヤダな。
「え、居るだろ、そこに」
「は」
「ひ」
「ふ」
「へ」
「ほ、ほ…?」
「いやなんでハ行言ってんだよ」
居るでしょと俺を指さしたのはプリンチャラ男だった。それに「は」と言った王様と「ひ」と言った魔導士らしき人、「ふ」はプリンで「へ」はヘッドホンで、戸惑いながら「ほ」と言ったのは女の子。名の知らない女の子、別に乗らなくて良いんだよそういうのは。つーかやっと喋ったなヘッドホン、俺もだけど。
「……」
「……」
「……」
「ぎゃあああああああ、ご、ゴースト!!!!」
「違うが?歴とした男子高校生だが??」
案の定、王様と魔導士、その他付近に居た召使い達は俺に気づいていなかった。転生してきた3人は俺に気づいていたらしい、そういえば、女の子はチラッとこっち見てたな。
「お、おっほん。……良く来た異世界人よ!」
「またそれ言うかよ」
「そなた達には、是非ともお願いしたいことがある!」
「え、無視?」
「ブフッ」
プリンが吹いた。ふざけんなぶっ飛ばすぞプリン野郎が。俺はプリン野郎を睨んだ、スゲー笑ってんなコイツ、後でシメる。
「そなた達には、この世界を闇に染めようとする魔王を倒してほしい!」
はいテンプレ来たー。お決まりだよな、異世界転生されたら基本魔王倒す勇者になるか悪役令嬢になるんだもんな、知ってるよ。いやだけどさ、なんで俺達が……。
「なんで俺達なの?」
「へ?」
ヘッドホン野郎が喋った、スマホ操作しながら。「アンタ達がやれば良い話じゃん、なんで俺達なの?」
「そ、それは、そなた達が特殊で…」
「特殊?魔法が使えるってこと?それってそこらに居る奴らもそうでしょ?何?つまり俺達は、アンタ達の捨て駒になれってこと??というか、ここスマホ使えないし」
うわー……、俺あんなタイプ嫌いだわ……けどご尤も。こういう転生モノは、基本勇者の性格が神過ぎてすぐに「よし!魔王を退治しよう!」みたいな流れになるけど、普通はそうはいかない。勇者がチートなのは当たり前だけど、お金は最低資金しかくれないし、装備だってボロ臭い。ほぼ捨て駒扱いだ。
「そーそー、俺達がやる必要無いよなーそれ。というわけで、帰らせてもらって良い?」
「わ、私も…!家のことがあるし…!」
「し、しかしだな…!そなた達は元の世界で必要無いと…!それに、そなた達は既に死んでいるのだ…!!」
「…ぇ……?」
は?
「……それ、どういうことですか」
「……意味わかんない…」
絶句した。勿論、俺だけじゃなくて他の奴らも。そこで初めて、ヘッドホン野郎がスマホから王様に目を向けたし、プリン野郎もガムを噛むのを止めた。
「俺達が必要無いって…?誰が決めたんだそんなこと、あ゙ぁ!!??」
「ヒィ!!」
「お、落ち着いてください異世界人様…!!」
「落ち着いてられっか!!!!」
プリン野郎が王様に胸ぐらを掴んで怒鳴った。そこに召使い達がプリン野郎から王様を離そうとするけど、プリン野郎がほぼ投げ飛ばす。え?アイツ強…。
召使い達は助けを求める顔をしているが、正直助ける気がしない。これで助けてしまっては、俺はプリン野郎の敵になり、終いの果てには何故か勇者になってしまうパターンだ。しかし、助けなかった場合は、王様達の敵になり首チョンパで人生終了。普通だったら前者を選んで生き延びる方が良いが、捨て駒になるのは御免だ。
事実、プリン野郎が怒るのもわかる。俺達は必要無いだって?誰が決めたんだ、この野郎。神様か?神様が決めたってか?何だそれだよ、本当に。俺は影が薄いから、必要無いというか存在忘れられているし誰も悲しんでないと思うが、許せないものは許せない。
なので俺は、傍観を決める。ヘッドホン野郎も傍観らしい。
「ぁ、あの…!あの……」
女の子はプリン野郎が起こした騒ぎを止めようとしたのか、声をかけようとしているが残念ながら聞こえていない。
「…ぁ、あ……」
ワナワナしている女の子の手は震えていた。そりゃ怖いだろう、だって周りには知らない人間と世界だ。それに、同じ世界の住人だったとしても男だ、怖いのは当たり前だ。
「…ゃ……」
ん?なんて?
「……ゃ、『止めてください』!!!!」
ピーンと空気が張った。何が起きたかわからない。ただ、女の子が止めてと叫んだ瞬間、全員が動きを止め喋るのを止めた。…………は????
「あ、あの…、初対面の私が言うのは至極失礼だと思うんですけど、あの…」
女の子はプリン野郎で隠れたほぼ気絶直前の王様 にオドオドしながらも言った。
「ど、どうして、必要無い者なのでしょうか。私、わからないことが多くて…その、えっと…私達がここへ来た詳しい理由、皆さんの世界が今どうなっているのか、教えてくれませんか?」
その真剣な目で絆されたのか、プリン野郎は王様から手を下ろした。王様や周りの召使いも、彼女の発言で目を覚ましたのか、申し訳無さそうに言った。
「いやはや、失礼したのぉ……。ちゃんと話すべきことを話していなかったな、説明しよう」
王様は1回咳き込んでは、俺達を見て喋り出した。
数千年前、紀元前とされる時代では、魔王が治める魔族と人間族を含む大陸の種族達は共存していたが、紀元前2500年に魔王が世界を支配しようと戦争を起こし1部の国や集落が消滅した。およそ30年に及ぶ大戦争は魔王を封印することで終結したが、それは1つの制止に過ぎなかったのだ。
「30年前、突如として魔族が住処としていた
「それって、魔王の封印が解けたってことでしょ」
「その通りじゃ。ハルモニアは、各国の精鋭を招集し魔王をまた封印しようとしたが全滅。我らソラリスも過去10回以上戦ったが全滅してしまった…」
「そんな……」
意外と戦ってんだなこの人たち。
「そんなとき、ハルモニアの主であるミラージュ大司教の元に女神フォルトゥナが現れ、お言葉…予言を託したのだ」
「『13年後の月天の黄昏時、ソラリスに異界より舞い降りし4人の天使が現れる。その者達ならば、魔王ナハトを倒すことができるだろう』…とな」
「……それが、俺達ってか?」
「その通りだ!13年後の月天、黄昏時こそ今この時だ!我々はそなた達を待っていた」
どう反応すれば良いのかわからないな、これ。
「じゃ、じゃあ!私達が元の世界では必要無いって言うのは…!」
「嗚呼、それはですね、女神フォルトゥナの予言が由来なのです」
「どういうこと?」
さっきからヘッドホン野郎もちょくちょく喋っている。あれ?もしかして全然喋ってないの俺だけ?
「女神フォルトゥナは、その天使達は元の世界では拒絶された存在、必要の無い存在であり、冥獄へ向かっている者…つまり死者と申しておりまして」
「……つまり」
今まで言動は全部女神のせい…!!!!!!
「あの、ちょっと良いですか?」
「え!?ぁ、は、はい、どうぞ……」
今絶対気づかなかっただろ、俺のこと。
「…フォルトゥナ、でしたっけ?その女神が魔王を倒してくれるとかはないんですか?」
「……女神様は天上に住まう尊い存在なのだ。魔王や魔族の地平の問題は同じく地平の者である我らが正さなければならないのだ」
つまり、女神様は傍観していると……。
転生者陣に気まずい空気が流れる。そりゃそうだ、俺達は元の世界では必要無い存在にされて、死んでこっちの世界に来た。つまり、俺達の帰る場所は無いってことだ。
「……異世界人よ、そなた達には女神様の加護が付いていると言う。そして、これは儂や大司教だけでなく、この星に住む者全ての願いなのだ。どうか、どうか…この世界を救ってくれはしないか……」
「……ぁ…」
流石に、あの心優しそうな女の子も言葉が詰まっていた。なんて、返事すれば良いんだろう。沈黙が流れる、皆どう返事すれば良いのかわからなかったからだ。
そんなときだ。
「わかった」
そう言ったのは、さっき王様の胸ぐらを掴んだプリン野郎だった。プリン野郎は、チャラ男とは思えない真っ直ぐな目をしていた。偏見って良くないな。
「事情はわかった。必要無いとか、そういう発言は許せないけど、アンタ達を助けない理由にはならないよね。その助け舟乗ってやる」
……なんかめっちゃカッコいいこと言ってるなアイツ。
「お前らはどう?」
そう言って振り返るプリン野郎は、俺達を見て飄々と笑っていた。それに、恐る恐る右手を挙げる女の子。
「わ、私に何ができるかわからないけど、あの、皆さんの力になれるなら…!」
「良く言った!!」
「ぅわっ!」
緊張しながらも、覚悟のある目でそう言った女の子にプリン野郎が肩を組んできた。おいテメェ何してんだコラ、流石に失礼だろ。
……俺としては普通に生きていたい。けど、助けを求めてる人が居るなら、俺を必要としてくれる人が居るなら、このセカンドライフも悪くないと思う。
「俺も、勇者パーティー加入ってことで良いですか?」
「勿論じゃ…!感謝する、異世界人よ…!!」
「それじゃあ、後は…」
あのヘッドホン野郎だけど。
「却下」
そんな気はしたよ。ソイツは俺達から目を逸らし身体を別の方向へ向けた。
「……そうか、仕方あるまい。決めるのはそなた達だ。そこのお主は資金をやる、好きに暮らすと良い」
え?その選択ありだったの?マジ??というか王様、結構あっさりしてんのね。
「そなた達3人には、資金と装備、旅に必要なものを授けよう。旅に出るまではこの城で暮らしてくれ」
あ、結構優遇されてるな、これ。
そうしてチャラ男と女の子、俺の3人は勇者パーティーとして冒険に出ることになる。あのヘッドホン野郎はこれからどうするかはわからない、というかどうでも良い。
「それでは、我々は勇者様方に必要な物を取り寄せます。勇者様方は客室へどうぞ、ご案内致します」
というわけで、俺達とヘッドホン野郎はここでお別れになった。案内された客室は1人ずつあるらしいが、1度俺が使う客室で話すことになった。なんで俺の客室なの????
「俺とその子の間だったからだよ」
「……聞こえてた?」
「うん、バッチリ」
あああああ、凄い恥ずかしい…。両手で顔を押さえていると、プリン野郎が笑っていた。くっっっっそ殴りたいコイツ。
「とりあえず、自己紹介しない?名前とか年とか」
「そ、そうですね…!」
「プリンのくせに良いこと言うな、さっきから…」
「おいプリンってなんだ。……まあ良いや、じゃあ自己紹介。俺は
金髪で染め直されていないプリン髪で耳にはピアスの穴が何個もあるソイツ、金無はニコニコしながらそう言った。そこら辺にあった紙に名前を書いてもらって、金無……まるで金が無いみたいな苗字してるな。
「転生前?は、下に弟妹が4人居て母親と合わせて6人で貧乏暮らししてた。苗字通り金無ってね」
「え…自虐ネタ…?そういうの良くないと思う…」
「お前さっきからなんなんだよ、はい次!」
「え!?」
そう言った金無は、隣りに居た女の子に話を振った。ほら、めっちゃ戸惑ってんじゃねーか。…え?年上だから先輩とかさんとか付けろって?めっちゃ違和感あるから無理。
「ぇ、えっと、
社守さん、金無と同じように紙に名前を書いてもらったけど凄く縁起の良さそうな名前だ、めっちゃ長生きしそう。黒い髪を1つに結んでいて、赤い縁の眼鏡をしている。
「目悪いの?近視?」
「近視です、昔から目が悪くて……」
「……じゃあ最後俺?天影薄、高2で今17歳。影が薄いです」
以上、と言おうとすると、金無がとてもつまんなそうな顔をしていた。おい文句あんのかコラ。
「影が薄いって…それはもう散々わかってるよ。他にないの?部活とか」
「帰宅部、以上」
「影だけじゃなくてキャラ設定も薄いとか…」
「あ????」
喧嘩売ってんのか我。
「ま、まあまあ…!」
今ここに社守さんが居なかったら俺はこのプリン野郎を殺していたかもしれない、マジで。
殴るのを抑えようと飛び出そうな右拳を抑えていると、プリン野郎…金無が何か思いついたかのように言い出した。
「やっぱりレベルとか確認できんのかな?ラノベとか漫画だとできるじゃん?」
「できるんでしょうかね…?」
確かにそうだ、ラノベや漫画だと主人公補正で勇者とか悪役令嬢はステータスの確認ができていた。後はそう、チートスキルとかもステータス確認によってわかるようになる。
「やってみるか」
「やるってどうやってやんだよ…」
「そりゃあ……『ステータス』!」
そんなので出てくるわけ……、
「お、出てきた」
おいマジかよ。
確かに、金無の前に青い透明な浮かんでいる画面的なやつが見える。安心しな、社守さん。社守さんの目がおかしいわけじゃないからそんなに目を擦んなくていいよ。
「で、どうなんだよ金無」
「今ん所自分のだけわかる感じだな、2人のは見えない。2人もやってみなよ。というか天影、俺先輩なんだけど?」
「やってみよう社守さん」
「おい無視か」
金無のことは無視して、俺と社守さんも同じように「ステータス」と言ってみた。すると、目の前に青い透明な画面が出てきた。
レベル、HP、MP、攻撃力だとか防御力が載ってて、一番最後に総評価が記されている。俺は何々?
天影 薄 Lv.1
称号:影の薄い底辺
兵種:ただの影の薄い高校生
派閥:勇者パーティー
HP:50/47(+5)
MP:10/10
攻撃力:5 防御力:1
回避力:5 俊敏性:5
命中率:0 幸運:30
特殊スキル:【
通常スキル:ナシ
天賦:【俺影薄いので】発動中
【フル無視】
【ツッコみ】
加護:ナシ
従魔:ナシ
装備:普通の高校制服一式(+5)
武器:ナシ
【総評価】
評価:★☆☆☆☆☆☆
『HP、MPなど、装備ナシでこれは平均的です。平民クラス、正直言って冒険者としては底辺です。あるだけ感謝しましょう』
……コイツ、喧嘩売ってんのか????買うぞコラ出てこいやゴラ?????と思っていたら続きがあった。
『特殊スキル【
……やっぱりコイツは殺して良いと思う。
えーっと、
【
オススメ兵種:戦士、暗殺者等々
スキル等級:★★★★☆☆☆
『あらゆる対象の影に潜伏するスキル。影があればどんなものだろうと潜伏可能。暗殺をする際に便利なスキルで、所有者の殆どが暗殺者や密偵』
……使えるな、これは。
「おい天影、お前どうだった…。…お前、ステータスの文に舐められるってどういうことだよ…お労しや……」
「黙れプリン野郎が」
「おいプリン野郎ってなに」
「そういえばお前は?」
「無視かよ…まあ、こんな感じ」
金無 炎仁 Lv.1
称号:貧乏なチャラ男
兵種:ただのチャラ男な高校生
派閥:勇者パーティー
HP:61/62(+3)
MP:50/50
攻撃力:20 防御力:7
回避力:10 俊敏性:15
命中率:15 幸運:5
特殊スキル:【
通常スキル:【鑑定】
天賦:【チャラチャラ】発動中
【不運大魔王】
【ツッコみ】発動中
加護:ナシ
従魔:ナシ
装備:地味にボロい高校制服一式(+3)
武器:ナシ
【総評価】
評価:★★☆☆☆☆☆
『HP、MPなど、装備ナシでこれは上々でしょう。特に貴方はMPが平均より高いため、魔導士になることをオススメします。しかし底辺は底辺、運が低いため落とし穴には必ず落ち、罠には嵌ります。』
【
オススメ兵種:魔導士、僧侶等々
スキル等級:★★★★★☆☆
『あらゆる対象のステータスを確認することができるスキル。また、戦闘中は弱点が表示されるため急所が狙いやすくなる』
「……やっぱり、舐められるんだな。というか幸運値低…」
「……お前よりは舐められてないよ」
というか、俺影薄いのでとかチャラチャラってなんだよ。名前雑かっての。
「社守さんはどうだった?」
「え!?わ、私ですか…!?えっと……」
社守 杏寿 Lv.1
称号:臆病でちょっとコミュ症
兵種:ただの臆病な高校生
派閥:勇者パーティー
HP:34/32(+5)
MP:40/40
攻撃力:0 防御力:1
回避力:5 俊敏性:10
命中率:0 幸運:50
特殊スキル:【
通常スキル:【
天賦:【臆病大魔王】発動中
【天然】
【ちょっとコミュ症】発動中
加護:ナシ
従魔:ナシ
装備:普通の高校制服一式(+5)
武器:ナシ
【総評価】
評価:★★★☆☆☆☆
『HPや攻撃力など、装備ナシでこれは低いですが、MPと運が高いです。僧侶や神官の兵種をオススメします。特殊スキルは…………素晴らしいスキルです』
【
オススメ兵種:ロード、調教師等々
スキル等級:★★★★★★☆
『あらゆる対象を服従させることができる。魔獣だろうと人間だろうと、スキル使用中の対象者は必ず発動者の命令を遂行する』
「……」
「……」
「あ、あの……」
……見なかったことにしようと思う。いや、うん、特に特殊スキルの欄はマジで見なかったことにしたい。普通に怖いわ、ほら文もビビってるし。…あ、そうか、だからあのとき、王様達とプリン野郎の喧嘩を止められたのか。……え、まさか誤送??
「ま、まあ!それぞれ弱点もわかったし、なあ?」
「そ、そうだな……ん?」
ステータスが反応しているみたいだ。ステータスを見ると、兵種の欄が光っている。えーっと『兵種を変更してください』と…。兵種の欄を押すと4つの兵種が絵と説明と一緒に現れた。兵種は【勇者】【戦士】【魔導士】【僧侶】の4つだ。勇者は剣や槍の使い手らしく戦士は斧や弓の使い手、魔導士はその名の通り魔法使いで僧侶はヒーラーだ。さっきのいけ好かないステータスの文に従って、俺は戦士を選んだ。金無は魔導士、社守さんは僧侶だ。……やっぱり社守さんの特殊スキルが頭から離れない。そして残ったのが、
「勇者、ね……」
「あのヘッドホンの人、これからどうするんでしょうか…」
「まあそれなりにやるんじゃない?俺達はとりあえず仲良く、な」
「まあ、同意だな」
影が薄いだけだった俺が、まさか異世界転生を果たしたわけだが、これから一体どうなるのか。想像できないが、死なない程度にやれたら十分だ。本当に。
「なあ、あだ名で呼ばね?その方が仲良い感じがするし」
「勝手にやってろ」
「じゃあスッシーと杏ちゃんな」
「ネッシーみたいなあだ名だなおい」
「杏ちゃんも好きに呼んで良いからさ!」
「おい無視か」
「じゃ、じゃあ金無さんと天影さんで…!」
「…俺も苗字で良いわ」
「お前ら普通ね…金ちゃん悲しいよ」
「嘘つけプリン野郎」
「だからプリン野郎ってどういう意味だコラ」
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