第20話 『鳴らない鈴』

神社に鈴って吊るしてたじゃないですか。もうコロナとかで外している場所が多いですけど。

今住んでいるアパートの近くの神社にはまだ吊るしてあります。

でもその鈴、何故か鳴らないんですよ。いくら振っても。


その神社、廃神社というわけではないんです。時々、参拝をしている人を見かけますし。

ただ、祭神でしたっけ?その説明がどこにもないんです。

鈴が鳴らない理由、そこにあるのかなって思ってました。先週までは。


先週の夜出かけた帰りに例の神社の前を通ると、高校生ぐらいの子達が何人かたむろってました。

ふざけて鈴を揺らしてたんですが、そこで初めて音が鳴らない理由が分かりました。軒から出た大きな手が、その鈴を掴んでたんです。


枯れ枝みたいに骨ばった、でも白いすべすべした質感が遠くからでも分かる手でした。

そのうち、指の一本がゆっくり下の方に降りて、揺らしていた子の頭を撫でていたんです。


もしかして、あの時、私も撫でられて

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