Episode 3 作戦会議
「加賀くん。」
俺は突然呼び止められた。亮先生だ。
「例の4人に例の部屋について調べるようそそのかすことは出来たか?」
「はい…。」
「そうか…。もう少しで僕の時代が来そうだなぁ。」
亮先生の普段学校ではみられない怖い顔に怖気付く。
しかし、僕には聞かないといけないことがある。
「お姉ちゃんは無事ですか?」
「愛菜のことか?心配するな、飯はしっかり与えてるさ。」
「変なことしてないですか?」
「さあどうだろうなあ。お前のお姉ちゃん、いい体してるもんなぁ。」
「今すぐ辞めてください。」
「お姉ちゃん想いだなあ。お前は。血も繋がってないのに。」
「関係ありません。お姉ちゃんはお姉ちゃんです。」
「まあ早く助けたいなら、早くあの部屋に誘導するんだな。」
お姉ちゃん…。必ず助けるから…。
***
加賀と別れた俺はその足で典子先生の元へ向かっていた。
「典子先生。なんですか?」
「10万円。」
俺は大人しく典子先生に10万円を渡す。
典子先生は10枚数えるとこう告げた。
「例の4人が動き出したみたいよ。」
「その情報なら知っています。」
「なによ、せっかく私が8万で買った情報なのに。」
「残りの2万はいつもの典子調べですか?」
「ええ。もちろん。どうやら謎解きイベントで優勝した経験があるようだわ。もしかするとこっちに勘付かれるかもしれないから気をつけなさいよ。」
「わかりました。」
――――――――――――――――
今は放課後。
俺の変なプライドで、文化祭の実行委員をやっている。
今は企画の提案中。
しかし忘れてはいけないものがもう一つある。
「もう案出ないし、例の図書室寄ってくか。」
「そうだね。」
「まぁってました!」
1人だけテンションが…。まあいっか。
俺たちはそのままエレベーターに乗って最上階にある図書室に向かった。
「うわ。久しぶりに来たわ。」
「そうだね。滅多に来ないもんね。」
俺たちは手分けをして探す。
探しているものはもちろん学校の資料とか言うもの。
歴史とか間取りとか色々書いている。はず。絵梨香が言うには。
だがいくら探しても見つからないのだ。
仕方なく図書室の先生に聞くことにした。
「先生。なんか学校の歴史とか載っている本ってないですか。」
「ああ。あるわよ。でも、校長室に持っていかれちゃったわ。」
「そうなんですか?なんて本ですか?」
「学校の遍歴とか言う本だったかしら。」
「へえ。ありがとうございます。」
「なにか企んでるの?」
ギクぅ。なんとか誤魔化さないとぉ。
「文化祭のことですよ。ほら今年95周年でしょ。特別なことやるにしても色々知っておくべきだと思って。」
ナイスぅ。美波ナイスぅ。さすが俺の女。
「そう。楽しい文化祭にしてね。」
「はーい。」
さあどうするか。
「校長先生。怪しいね。」
「なんで?」
「だってさ、突然持っていったんでしょ?」
「突然かどうかはわからないけどさ。」
「でも、もともと図書室にあったものをわざわざ校長室に置くなんてやましい事でもないとしないよ。」
それもそうかもな。
「俺さあいいこと考えたんだ。俺についてきて。」
俺はそのまま校長室に向かった。
「ちょっといきなり潜入するの?」
「黙って見とけって。失礼しまーす。」
校長先生はいつものピンクのワンピース姿で登場した。
そうだ。ここで校長先生のことを知らない読書の皆さんに説明をしよう。
うちの校長先生は常にピンクのワンピースを着ている。それ以外は基本的に見たことない。
ただし何故かこの高校にはチャイナデーというのがあって、校長はチャイナドレスを着ていた。
正直69のチャイナドレス姿はしんどかったが…。
また毎回全校集会では校長のカラオケが始まる。校長が歌うのはあいみょんばっかだ。
ということで、かなりのお調子者な校長だが、話が長いので嫌いだ。
そんな校長にこんな提案をしてみた。
「校長先生。僕たちファッションショーやりたいなって思っていて、校長先生でていただけませんか?」
「あら。面白そうですね。ぜひ。」
「おお。じゃあ、来週今の写真とお着替え後の写真撮らしていたただいてもいいですか?」
「ええ。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
俺はそう言うとそのまま校長室を後にした。
「よくも嘘がペラペラと出てくるわね。」
「まあまあ。」
「で、どういう計画なのかしっかりと説明していただける?」
俺は他の3人に今回の計画を話した。
「来週、校長の写真を撮る。撮影係は、美波。俺は美波の後ろから色々する。」
「色々ってなんだよ。」
「まあ色々だな。で、その隙に2人が本を取る。」
「なんかガバガバな作戦だな。しかもどこにあんのさ。」
「おいおい石岡探偵団としてあるまじき行為だぞ?しっかりと探しておきなさい。」
「うるせえな。」
「右の棚だよ。2段目。左から3冊目だ。」
「さすが団長。」
3人が同時に冷やかしてきた。
「団長なんてお前ら言ったことないだろ。」
「まあまあ。来週が楽しみだなぁ。」
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