第42話
この文章は、あくまでユキに宛てた手紙である。
そう考えると、私は物凄いお喋りで、構ってちゃんなのが分かる。
こんな勢いでメールして、しかもこの程度の内容だと、警察に通報されかねない。
なので、メールは送らない。
言葉の数は多いが、内容は至極単純な気がする。
つまり、しつこいだけだ。
しつこい男は女性に嫌われる。
そういうことも、自覚せざるを得ない。
寡黙で優しい男になりたいと思うが、私のガラじゃないだろう。
では、ユキに私の趣味の話でもするか?
それもダメだな、ユキが興味を示すとは思えない。
狭い範囲の少しだけ深い知識は、多少あるが、女性が聞いて喜ぶようなものでもない。それこそオタクがまくし立てるソレになっちまう。
そう考えると、ユキに話すべき事は、驚くほど少ないことが分かる。
今さら、ユキは美人だと言ったところで、「事実」を何度も復唱しているだけの感が強い。そもそもユキは私に、はっきりしている事実を繰り返し言われたところで、喜ぶのだろうか?
・・・ふむ、そうか、私は構って欲しい欲望が、単に空回りしているのか。
これは、いかんな。
違う趣旨の文章ならば、もう少し違った語り口もできよう。
だが、しつこい私は、まだこの手紙を書いていたいと思っている。
それは、認めざるを得ない。
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