第12話 聖者の能力
*少し残酷な表現があります。ご注意ください。*
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——あれから何日が経過したのか・・・・。
——いつまで、この地獄は続くんだ・・・・。
神谷惣治は、あれからずっと地下の部屋に手足を縛られて監禁され、ナスルという悪魔に憑りつかれたような男に、検査と称するありとあらゆる虐待を受け続けてきた。
その結果判明したことがある。惣治の得た聖者の力は、まさしく奇跡だった。
惣治の体は、どんなに傷つけられても、僅かな時間で修復され、何事もなかったかのように元に戻るのだ。
このことを知って興奮したナスルは、およそ検査とは呼べない残酷な行為を際限なくエスカレートさせていった。
さらに悍ましいのは、一つ一つの行為の後、ブツブツと独り言を言いながらノートに検証結果のメモを取る姿だった。
痛みに耐えかねた惣治が、何度も助けてくれ、許してくれと懇願するが、ナスルという狂気に取りつかれた男は、一切手を緩めることはない。
それどころか、惣治の哀願を聞くたび、実に楽しそうな表情を浮かべ、
「そうですか、そうですか」
と、頷きながらさらに残虐な行為を続けるのだ。途中、ナスルが休憩するための何度かの中断をはさみつつ、際限のない暴力が繰り返された。
あらゆる残虐な行為の果て、ついに意を決したナスルは、「ハァハァ」と荒い呼吸をして、
「一先ず、これで最後です」短く呟くと、手にしたメスを惣治の左胸に突き立てた。これまでに無い激痛が惣治を襲い、惣治は意識を失う。
・・・・だが、結局また同じだった。メスを抜く際に傷口から大量に流れだした血も、暫くすると止まり、傷口もきれいに消える。心臓も力強く鼓動を再開し始めるのだった。
——不死身。
ナスルは、惣治の与えられた聖者のスキルをそう結論付けた。もちろん、そう結論付けるには、本当はまだ多くの検証が必要だった。
例えば、高位の黒魔導士による炎熱魔法で一気に焼き払えばどうか、または、水に沈めて窒息させてみてはどうかなど、恐ろしい検証がいくつも考えついた。
だが、ナスルの思考は急速に異なる方向へ傾いていった。わざわざそんなことで、この貴重な素材を無駄にする必要はない。
そんなことより、この貴重な不死の素材は、これまで自分が追い求め、しかし、結局は成功できなかった、あの研究の最後のピースを埋める材料となりえる。
今度こそ、この素材を用いて成功させるのだ。自分を馬鹿にして、貶めた奴らを見返し、思い知らせる。ナスルの思考は方向性を得て、一気に加速していった。
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