第50話 楓のアイデア

「楓……どうしたの……?」


「いえ、ちょっと身震いしそうな恐怖の連絡が。それより、最終週ですもんね」


「票を取るのに大事なのが話題性だ。アルハザートは知名度が圧倒的に高い。でも僕たちが本気になってSNSで目立てば、フォロワー数も増えるし、いいことだらけのハズ、だけど――……」


「うーん……」


「SNSでの話題性って、ずっと2位のままの結果がなぜなのかっていば、経営陣があってたからだろ? 僕らが自分でやった方がいいアイデア出てくるかも」


 楓は必死で考える。

 どうすれば、自分であればどう対応すべきだろうか。

 

 「生配信とか、ゲリラライブとか――……リアルタイムの話題性があれば、なんとかならないかな?」


 「ファンサービス、握手会も。ま、やっぱその辺りだよね。順当に増えてるよ」

 

 「……そうだ、おじいさまが扱っている商品の戦略で以前――やっていたことがあるわ。それをアレンジしたら――……」


 楓は、蒼汰にほほ笑んだ。 


****


「アレンジしたものを作ってみる?」

「はい」 

 

マネージャー含め全員が集まったリビングで、楓は声を上げた。

 

 「ショート動画でいいからポップやクラシック調、オペラなんかにアレンジした曲を動画で流してみてはどうですかね? 曲も好みがありますから、音楽のジャンルそのものをばらけさせることによって、いままでより気になる人がアップしそうですけど」

 

「なるほど」

「いい案かも」


 悠も淳史も頷いた。蒼汰はトントンと考える仕草をし、

 

 「CMの話があったはず。アレンジした曲をCMで使わせてもらうことできないかな? 聴きやすくしたやつがいい。みんなが思わず口ずさめば――」


楓も乗り気になる。


 「全員がそれぞれ得意分野で動いてもらいたいです、悠さんはアカペラで歌ったり、霧崎さんはクラシック調にアレンジしてもらったり、蒼汰はボーカロイドみたいにアレンジ編集、淳史さんは踊りをメインにショートをあげて、若い子たちの反応を――」


「ナイスアイデア過ぎ!」

マネージャーは楓にぎゅっと抱き着き、楓は「ありがとうございます……?」と困惑した。そこで霧崎も同意する。


 「よし、投票期間が迫ってる。各自、すぐにとりかかろうか」

 

具体性が増すと全員が頷いた。

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