掲示板回

しのびかに黒髪の子の泣く音きこゆる

書きかけのレジュメ








「【自称ゆるキャンパー】ケンヤチャンネルを語るスレpart14」




530名無しの冒険者:

オークロード一撃とか

ありえん


531名無しの冒険者:

幼馴染ちゃんもヒイてる笑


532名無しの冒険者:

こいつチート過ぎだろ

フェイクじゃね?


533名無しの冒険者:

>>532

初見さん乙です^^

みんな最初はそう思うんだよなあ


534名無しの冒険者:

ケンヤ「今日は豚丼ですな」じゃねんだわ


535名無しの冒険者:

↑それがケンヤクオリティ


536名無しの冒険者:

同接2万行っとるやんけ草


537名無しの冒険者:

トレンドにも入ってる

スレの速度もスゲー


538名無しの冒険者:

この速さなら言える ヌルポ


539名無しの冒険者:

>>538

ガッ


540名無しの冒険者:

ケンジまたやったのか


541名無しの冒険者:

>>540

後は同時に消灯でつ


542名無しの冒険者:

おいオークロード解体し始めてるぞ

グロ


543名無しの冒険者:

アカン BANされるう!




※以上、『成人と同時に親から捨てられたニート俺氏、長身メカクレ爆乳幼馴染とダンジョンでゆるキャンプ配信始めたらバズったw~いやモンスターと戦えよ~』(作者名:やかん骨)より引用。








『メディア学演習』中間発表レジュメ

2年 藤森愛奈( 1U230687-9 )


 「掲示板回」と聞いて、みなさんにはその意味がわかりますか?


 今回お話ししたい掲示板回とは、冒頭で引用したような、電子掲示板の形式で綴られた小説のエピソードのことです。これが特に採用されているのがWeb小説で、中でも掲示板回のみで構成されているものは「掲示板形式」のタグを付け、一種のジャンルを形成するほどの隆盛を見せています。


 掲示板回の典型的なパターンとしては、大手電子掲示板サイトの5ch(旧2ch)を模倣した「名無し」のユーザー達が、主要登場人物の活躍や作中世界の出来事について語り合う、というもの。最近(二〇二四年現在)では、ダンジョン配信系、Vtuber(バーチャルYouTuber)系の作品で頻繁に見られます。


 このスタイルの最大の魅力は作品により没入できることではないでしょうか。登場人物の一人称や客観的な三人称視点を離れ、まるで自分が毎日スマホで眺めているバズった話題かのような感覚で作品を体験できるのです。


 また主人公の成し遂げた偉業や、面白い行動へのリアクションが多く書かれる点においては、掲示板回は作品の疑似的な感想欄とも言えるでしょう。Web小説や漫画の読者の中には、自分と同じ感想を思うユーザー達との一体感を感じたり、自分では上手く言語化できなかった感想を見て膝を打ったりするのが好きな方も多いと思います。しかも掲示板回なら、現実のWeb小説の感想やコメント欄がしばしば粗探しや批判に終始し、作品を楽しんでいた場合興覚めさせられてしまうのとは対照的に、飽くまで作者により統制された娯楽の一部として不安なく理想的な形で享受し続けられます。



 ところで、掲示板回についてみなさんは何か「おかしい」と感じませんか?


 それは「まるで自分が毎日スマホで眺めているバズった話題かのような感覚で作品を体験できる」ことが魅力なのに、匿名電子掲示板の形を取っていること自体です。


 確かに一〇年前なら5ch等の掲示板が相応しいでしょう。でも現在は、インターネットのコミュニティとしての匿名電子掲示板は大勢力とはいえ、以前ほど支配的とは言えません。今ではX(旧Twitter)、Instagram、BeRealのような各種SNSは毎日見ていても、掲示板はたまに流れてきたスクショやまとめブログ(5ch等掲示板の投稿をまとめて掲載するキュレーションサイト)で見るのが関の山の方も多いのではないでしょうか。


 つまり「読者の大半にはもう掲示板文化に親しみが無いか、時代遅れに感じていて、作品に没入するのを阻害しているのでは?」と言いたいのです。


 無論、5chを始めとした各種掲示板がこの国のインターネット文化に与えた影響は計り知れず、テレビや映画などで作られたインターネット像の一つとして今も強く根付いているのは承知しています。Web小説読者には中高年が多いので、疑問に思わない世代が掲示板回のメインの読者である可能性もありますが。


 ただそれでも「なぜ掲示板ばかり?」という疑問が残ります。X(旧Twitter)やYouTubeLiveのコメント欄を模したものもよく見られますが、どう考えても掲示板の登場回数の方が多い。


 果たして、私達はそんなにも掲示板のことが好きだったのか?


 と、言う訳で私も長年Web小説を愛好してきた者の一人としてこの謎に引っ掛かり、掲示板回について調査することにしました。


 それでは初めに今回取り上げる問題について整理しましょう。


 以下の通りです。



①掲示板回はなぜ未だに電子掲示板の形を取っているのか?


②掲示板回は今後どのような形に発展/衰退していくのか?



 調査方法は、とにかく作品を集めて読む、これだけです。


 ①については、完全な形は難しいですが、掲示板回史なるものの作成を試みています。大きく黎明期・確立期・定着期(現在)の3つに分けて、Web小説自体に深く入り込んだ掲示板文化の影響を考察する予定です。学期末までには。


 ②についてはWeb小説の一つの目標である商業出版の視点から、果たして掲示板回がエンターテイメントとして今後いつまで耐用し得るか、アンケートやインタビューを交えて考察していきたいと思います。例えば、私の所属している文芸サークルのメンバー、あとOBの編集者や、現役の作家の人なんかにお話を聞ければ、と思っています。今の時点では全然聞けていません。


 とまあ、最終的にはこの演習のテーマである『メディア論』的な立場からWeb小説と電子掲示板のカルチャーを捉え直すものにしたいと思っています。が、今のところはまだまだなので今日の中間発表では、掲示板回が抱える問題の所在について掘り下げていこうと思います。



 まずは先ほど引用した作品の、以下の部分を見てください。




538名無しの冒険者:

この速さなら言える ヌルポ


539名無しの冒険者:

>>538

ガッ


540名無しの冒険者:

あいつまたやったのか


541名無しの冒険者:

>>541

後は同時に消灯でつ



 上記の文章は、主人公の活躍を褒め称えるのが趣旨ですが、「この速さなら言える ヌルポ」「ガッ」、または「あいつまたやったのか」「後は同時に消灯でつ」というやりとりの意味はわかりますか?


 5chを中心として築かれた掲示板文化の一つに、各板で培われてきた用語、スラングというものがあります。青森、私の地元の学校では2ch語なんて呼んでいましたが、要はインターネットミームの一つです。インターネットミームとは【ここでwikiから抜いて要約】のことです。


 「ヌルポ」「ガッ」はその典型的な例で、定型化したジョークのようなものです。元々はプログラマーの間で使われていたとされていますが、関係ない人にも広まりました。


 しかし、二〇二四年の今では馴染みないか、もう面白さの旬が過ぎてしまったように思えます。また、そもそも論としてインターネットミームは、ユーザー各々のインターネット歴により知っているかどうかの差が激しいものです。読者によっては知らないミームに対して意味不明に感じたり、何か疎外感を覚える可能性もあり、扱いには慎重さが求められるものと言えましょう。


 一方で、栄華を極めたかつての2chのムードを出すという意味では、この上ない手段でもあります。







「見ると目と鼻と口と耳が外れる画像」




1:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 22:14

【URL略】

見た?


残念でした

これで皆さんは見えないし嗅げないし味無いし聞こえません


2:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 22:35

2get

糞して寝ろ


3:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 22:44

1の母でございます。

このたびは、息子がこのようなスレッドを立ててしまい、皆様には大変ご迷惑をおかけしております。深くお詫び申し上げます。

息子は幼い頃に父親を亡くし、そのショックで内気な子供になってしまいました。そのせいか、小・中学校ではいじめにあっていたのです。

この年になるまで、恋人はおろか友達さえもいないようで、大変心配しておりましたが、この2ちゃんねるというサイトを知って以来、息子も少し明るくなったようです。

「今日2chでね、せこいドキュソがさあ…」と、とても楽しそうに夕食の時に

話してくれるのです。

どうぞ皆様、息子を暖かく迎えてやってくださいまし。

本当は良い子なんです。

よろしくお願い申し上げます。

1の母より


4:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:12

>>1

( 'д'⊂彡☆))Д´) パーン


5:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:18

またお前か

何度も同じスレ立てんな


6:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:19

>>5

後は同時に消灯です


7:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:25

見たけど、目と鼻と口と耳外れてないんだけど?

見えるし嗅げるし味あるし聞こえるんだが?


8:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:33

>>7

外出ろヒキオタ

逆だよ


9:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:34

>>8

何が逆だよ氏ね


10:私名無しさん貴方の後ろにいるの

:07/06/08 23:45

>>9

逆逆逆逆逆逆逆逆逆逆逆逆逆逆逆


漏れらがみんなの目と鼻と口と耳から外れたの

漏れらが他の香具師らから見えないし嗅げなくなるし味ないし聞こえなくなるの


見た奴全員幽霊でーす








※以上、『ある画像についての記録(不完全版)』(作者名:樋口観緒)より引用。【webサイトからの引用ってどう書けばいいんだっけ?→要調査。載せ方はURLが長いし、後で脚注にまとめるとかでいいか】







 これまで説明してこなかった掲示板回の出番として、ホラージャンルが挙げられます。特に近年は、ドキュメンタリーを模したモキュメンタリーホラーが流行しており、そこには往年の『死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?』スレッド群【ここ説明要る?】に代表されるWeb怪談の影響が多分に含まれています。


 怪談のアーカイブとしての掲示板回は、多少インターネットミームが古めかしくても、馴染みのない文化だとしても比較的受け入れ易いでしょう。むしろ時代や知識で隔絶された分、物語の余白を読者自身の想像力で補って恐怖をより身近に感じられるかもしれません。


 ここに現れる「2get」「>>1の母」「後は同時に消灯です」のようなミームは、?





【「後は同時に消灯です」←こんな2ch語あった?】





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