さて
ギルドが用意してくれたそこそこ良いらしい宿に泊まることになった。
宿のご飯は魚尽くし。
アクアパッツァみたいなのは出汁が出てて結構美味い。贅沢を言えばハーブと胡椒、白ワインを使って欲しい。
塩焼きのスズキとかも新鮮で美味い。
パンはやっぱ堅焼きのハードパン。イースト菌を見つけて欲しいところ。
イタリアとかの窯焼きパンとか憧れてたし、素朴なパンは美味しいけど、毎日ってなると日本の菓子パン惣菜パンが懐かしい。
「おー、たまには魚もいいな」
「海にきた時だけだよ」
ドットたちもランガたちも結構追加を頼む。
エールとワインも当然なんだけど、以前ほど爆飲み出来ないようだ。美味い酒を知ってしまったから・・・。
食事が終わったら、まぁあれよ。
「「「「「「「・・・」」」」」」」
俺の不可思議に関する尋問。
いまだにどこまで話すべきかは悩んでいる。・・・流れに身をまかせ~♬でいいかね。
「何をどう聞けば良いのやら」
それな。ドットが唸るけど俺もわからん。
「じゃー、僕からね~。ジェイルの魔法って僕は知らない詠唱使うじゃん~、て言うかほぼ無詠唱みたいな。どこで習ったの~」
シャートがズバッときた。
「魔法の使い方は一緒に出た時にシャートに使い方聞いてなんとなく出来た我流?」
「えー!?」
ティアランシアに創造魔法を使えって言われて物作りは覚えたけど、他はよく分からないままだったから。
「ありえないでしょー」
「とんでもねぇな」
シャートが魔法はイメージが大事って言うからそうしたげけだよ。
「俺は広範囲探知について聞きたい」
それは、スキルに範囲だよなぁ?
あんな遠くを知らせてきたのは子供たちのことがあったからもう多分ドリアスかシャルマが気を利かせたと言うか、「助けろ」ってことだったかと。
メールチェックしてないけど、多分そう言うの入ってると思う。
「うーん、説明が難しい。普段は俺にとって危険なことしか分からないんだけど、神にもらったスキルだからとしか言いようがない」
自分で鍛えたとか会得したわけじゃないから、説明は無理。
「「「神!!?」」」
そうなるよな。イカれた奴みたいになるよな。
「俺の不可思議は全部神のせい」
めんどくさくなった。
「おいおい」
「何その適当な言い訳」
だってそのまんまの意味だし。
「子供服用意できたのも?」
「美味すぎる飯作るのも?」
「草や酒いろいろ持ってるのも?」
YES!神のせい。
あ、美味い飯は俺の腕!!でも調味料が手に入るのは神のおかげ。
「おいおいおい」
「万能神かよ」
んー?ドリアスのこと?それはどうだろう?
「カナンは調整と約束の神じゃなかったけ」
「そうだよ。ここポルドスは海の神オーズ」
この世界、多神教だよね。
「どの神のせいだって?」
「んー?直接はティアランシアでドリアスとか他も?」
「「「「「「はぁ?」」」」」」
さらに深く言うと別の世界の召喚魔法を使ったバカのせいで、ティアランシアに憐れまれたからこうなった。
「・・・お前渡り人か?」
ぬ?異世界転生のことだっけ。
「伝記とかにやたら不思議な魔法を使う、見たことのない食料や酒をもたらし、見た目や行動が妙な人物が出てくることがある。そう言った人物は神の加護を持っている」
勇者伝説とかじゃないのね。魔王がいない世界だから。
神にもらったスキルって言っちゃったから、バレバレなのか。
そんな伝記あるのねー。
「神の加護・・・加護じゃないけどなんかもらってるみたい」
「軽っ!!」
〈憐憫〉とか〈お願い〉も加護なの?
「これ以上詳しくは聞かんがスキルとかそう言うもんなんだな?」
「そう。なんか楽しく生きれるようにしてもらった」
一回死んだとか説明しなくていいよな?
「やっぱりお前面白いな」
「なんとなく旅するだけあるなぁ」
ランガとヤンが爆笑する。
「なんとなく旅って」
クレイバーとドレイクは呆れ顔。
「便利な能力持っていると囲い込まれたり利用する奴は出てくるから、面倒が嫌ならちゃんと隠せよ」
囲い込みは嫌だ。
「堂々としたら逆にバレないんじゃない?」
ヴァロが言うと、
「あまりに珍しいと目に付くだろう。草や酒は特にな」
ってドットが答える。
「酒も草もドワーフはやばいよな」
「それこそ地底の都に監禁される」
何それ怖い。
ドワーフはお酒大好きなイメージだけど、タバコも好きなのか。ヴェールが刀見せてこいって言ってたけど怖いから無理じゃね。
「俺たちもぶっちゃけ囲い込みたい」
「そーそー、ご飯美味しい」
「酒もうまい」
「探索能力もすげー」
おいおい。褒めすぎだぜ。
「ま、俺たちゃ今くらいがちょうどいいから無理強いはせんがな」
「拠点は変えたくないもんね」
ランガとヴァロがタバコに火を着けたので、俺も一本。
俺が旅をしたいってのは言い続けてるので、カナンに連れ帰るのは諦めてくれるらしい。
「でもさー、ジェイルって結局女に騙されてしょぼいパーティに利用されそうだからソロでいるのはやめた方がいいよー」
「それはあり得る」
ありえませんYO!
NOと言える俺になったんだぞ。
「なんか巻き込まれそう逃げようとか言いながらぐるぐる巻きー」
それは今のこの状況だし。
「ヤバい時はニコルかボルクの名前出せ。大概は引くだろう」
おお!!あの二人は有名人なのか。
「ドットたちもBランクだから名前効きそうじゃないか?」
「俺たちの名前じゃ高位貴族や王族には効かん」
そうなのか。
「やばそうだったらそうする」
さすがにちょっと世話になっただけで「俺の知り合いカナンのギルマス、ニコルソンだぞー」とか気軽に使えない。
今夜はベッドで寝れるので早々に解散した。
_________________________
〈新月の雷光〉
ドット
クレイバー
ドレイク
シャート
〈鋼鉄の拳〉
ランガ
ヴァロ
ヤン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます