小さな郵便屋さん
琉生⊿
#1 フクロウさんにおとどけものです
これは小さな郵便屋さんの物語。
「おてがみでーす」
「こんにちは、郵便屋さん。いやはや、いつもありがとうねぇ。大切に読ませてもらうよ」
ぼくは小さな郵便屋さん。今日もフクロウさんに手紙を届ける。
「フクロウさん。かぜはなおりましたか?」
担当区域の見守りもぼくの仕事。
「お陰様でスッカリ良くなったよ。ありがとうねぇ」
「それはよかったです。むすめさんにもつたえておきますね!」
フクロウさんの娘さんは毎日フクロウさんにお手紙を書いている。ぼくはそれを毎日届けている。そんな毎日。
◇
「郵便屋さん。今日も父にお手紙頼めるかしら?あと、これもお願いできるかしら?」
「おにもつですか?おまかせください!ちゃんとおとどけしますね!」
今日もフクロウさんの娘さんからお手紙の配達を頼まれた。あと、これはなんだろう?小さな小包もお願いされた。
「なにがはいっているんでしょう」
「きになるなぁ」
「だめだめ!あけちゃだめ!これはフクロウさんへのおとどけものだから!」
◇
「フクロウさん!おとどけものでーす」
「郵便屋さん。いつもありがとうねぇ。おや?今日は手紙だけじゃないのかい?」
「はい!きょうは、おにもつもおあずかりしてまーす!」
そわそわ
そわそわ
「郵便屋さん。どうしたんだい?」
「なにがはいってるのかなって。ちょっときになって……」
「ほっほっほ。それでそわそわしていたのかい。どれ、開けてみようかね」
「わあい!」
丁寧に小包を開ける。
「クッキーだ!」
「おやおや、美味しそうだねぇ」
「郵便屋さん。1つあげよう」
「いいんですか?やったぁ!うれしいです!」
「いつも手紙を届けてくれるお礼だよ」
翌日
「おてがみでーす」
「おはよう。郵便屋さん。今日は僕からお手紙をお願いできるかな?昨日のクッキーのお礼に手紙を書いてみたよ」
「はい!おまかせください!おとどけしますね」
◇
「フクロウさんのむすめさん!おてがみでーす」
「あら、父から手紙なんて珍しいわね」
「クッキーのおれいだそうですよ!」
「まぁ!ふふ。ありがとう。大切に読ませてもらうわ。」
みんなが笑顔になる。ぼくはこの仕事が大好き。
明日も、そのまた明日もみんなにお手紙を届ける。
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