第三話『二十四時の震天冷嵐(シンデレラ):天冷嵐』
闇の中は風が強い。
二十四時過ぎ。今日も残業、長かったなぁ。まぁ、残業というか、クソアナウンサー
わたしは今、氷色のドレスを
海水面を、凍らせながら滑走している!!
もちろん、右足のつま先で。
ここは、貸切のアイススケートリンクってわけ。本当は、誰か一緒に滑る相手がいれば、もっといいんだけどね。
……いや、おセンチになるのはやめて、
わたしは、今からぶっ壊そうとしている
で、このトルネイドがデカくなる、つまり危険になるのは、海上の暖かく湿った空気をどんどん吸収するせい。だから、この暖かく湿った空気を遮断してやれば、トルネイドは発達できない。その手っ取り早い方法として……わたしの
あっ、あのあたりが、水蒸気たっぷりで良さげね。
わたしは滑走をやめ、立ち止まる。
左足を軸に、右足は
右のつま先が輝き始める。
輝きは、青白い光の玉となって、どんどん膨らんでいく。
よし、これくらいで、十分でしょう。
「いっけぇ! 出力五〇パーセント、
つま先から、細い氷の柱が、光線のように勢いよく伸びる。
それは、空にうっすらとかかった雲を貫く。
射抜かれた雲は、急激に冷え、即時、
すると変色した雲の隣の雲もまた、色を同様に変え、そのまた隣の雲も追随し、瞬く間に
ここからは肉眼で見えるはずもないが、冷えて成長した氷の結晶たちが、近くの水蒸気に触れて、結晶の仲間を増やしていくのだ。
その様子はまるで、水面に垂れた雫による波動が広がりゆくよう。
「決まったわ!
世界は、どす黒い天井に覆われた。
「降雨まで、三、二、一……」
コツ、コツと、わたしの体を何かが打つ。
それは、上下に引き伸ばされた雫のような形にはなってはいない。
丸い、塊。
「雨じゃなくて、
するとすぐ、ドドドドドド、と、身を殴りつけるような氷の大空襲。
「いててっ!」
慌てて頭を手で守る、
なんてしなくても、
「出力三パーセント、
大きな氷のパラソルが、氷の床からニョキニョキと生えてくる。この『
雲間からの月明かり。
わたしの
霰は
霙は雨へ。
そして降り
風も止み、
トルネイドは、水蒸気を使い切り、温度を失い、もはや上昇気流も起こせなくなった。もう豪雨と防風と雷は起こらないだろう。
ヤワラカ国の安全は守られた。
〈第四話『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます