伝説のガチャ

『皆さんのおかげで敵が五二〇体も撃破されました』

「終わりが見えない」

「やはりこいつを除いて暴政を終わらせるべきでは」

『ガス抜きも兼ねてガチャをしようと思います』

「少しは包め。ガス抜き言うな」

『公式サイトをご覧ください。選ぶ人 死ね クズ 住所 などでググると出てきます』

「ネガティブなサジェストで誘導するな」

「なんだこのサイト、ブルースクリーンみたいだぞ。プロに頼め」

『ご自分の名前と人生最大の後悔を打ち込めば一回ガチャを回せます』

「なんで俺達の人生最大の後悔把握してんの」

『あるいはトラペゾヘドロンを一個消費するごとに一回ずつ回せます』

「公式の使い道キタ!!」

「課金ガチャじゃないなんて良心的だな」

「……仲間NPC追加って出たんだけど、この台所の隅で泣いてるデカいシメジのことじゃねえだろうな」

「ガソリンが永久に減らない霊柩車当たった」

「第二の能力開花、頭がドリルになる」

「座標の穴に落ちた時に使う脱出装置? これ初めから配布すべきものでは」

「ペットが人語を話せるようになる!!?? 戻して!!!!」

「企画力が絶望的に無い」


 その者、永久機関霊柩車を駆りて現れ、ロンギヌスのデンタルフロスを振るいしなり。腰には一〇の味のトラペゾヘドロン(きな粉、黒糖、抹茶、ハッカ、チョコミント、ブルーハワイ、苺、白桃、青りんご、チェリー)、従者にはむせび泣く菌類、時に頭がドリルとなる。人智を超えた力で敵を狩る英雄なり。


「みんなの要らんものを押し付けられた人だな」

「これが意外に強いのよ。レベルも二〇〇を超えたらしい」

「レベル三桁いくのか」

「彼なら世界を救えるかも知れない……」

「気の毒だな。俺の爆乳透明人間(仲間NPC)も引き取ってもらおう」

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