島流しされた第七皇子は無人島で古代ゴーレムと共にスローライフを満喫します
橘まさと
プロローグ
■エグナシア島
うっそうと茂った森の中。
ドスンドスンという足音が響くと、森の中にいた動物たちが騒ぎ出した。
「アグリオス、動物たちを踏んじゃだめだよ?」
僕が声をかけると、ギガァと駆動音というか声とはいえないものが返ってきた。
森の木々よりも高い視線から見渡す島の様子に異常はなく、今日も平和と言える。
日々のパトロールは僕の日課であり、生まれ変わってからのスローライフを守るために必要なことだった。
『9時ノ方向、海岸二大型漂流物アリ……解析完了、ヴァルトリア王国の紋章アリ』
腕につけていた魔導具から島の防衛システム【ガイア】の声が聞こえた。
「いくよ、アグリオス。僕は捕まっているから、全力で走って!」
ギガァと声が返ってきて、僕の足元が動き始める。
そう、僕がいるのは15mの高さ……5階建てのビルのてっぺんあたりになる。
その高さを誇る巨大な人型……古代ゴーレムのアグリオスが僕の言うことを聞いて動いているのだ。
ゴーレムといっても、土でできてはおらず、鉄よりも固い謎の金属製である。
ドガァァンと大きく足を踏み込んでアグリオスは森の端の崖から飛び降りる。
ズシィィィンと重い音と共に地面に着地したアグリオスは目標の海岸に向かって走り直した。
「3年間何もなかったのに、隣国のヴァルトリア王国の船が漂流するなんて……世界は何が起こっているんだろう?」
僕こと——アリオス・エルトゥール——はこのエグナシア島に3年前、母親と共に流されたきたのである。
何もない無人島と聞いていたが、実は古代遺跡でできた島でありアグリオスのようなゴーレムがあったのだ。
振り返っていると、僕らは海岸にたどりつき、浜辺にうちあげられた女の子を見る。
寒冷地でもあるヴァルトリアに多い銀色の綺麗な髪をした女の子だった。
「あの髪……もしかして! アグリオス、僕を下ろして」
アグリオスが頭に乗っている僕へ巨大な手を伸ばし、その手に乗って僕は女の子の前に降りる。
その間に目を覚ました女の子は僕と、アグリオスを見て驚き、目を見開いた。
「久しぶりだね、クラリス。こっちの巨人はアグリオスだよ。この島で見つけた僕の友達さ」
「アリオス! 生きていたのね! じゃあ、ここが……エグナシア島!」
3年ぶりの再会を僕らは喜びあう。
つもる話の前に、僕がどうしてここに居るのかを話しておくとしよう。
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