第8幕。

◯どこかの教室前廊下(夜)◯

舞台中央に進が立っている。


進「亮君、見つからなかったなぁ。でも、その代わりピースを見つけて来た訳だし!誰も文句は言わないでしょ!!」


進は胸を張って偉そうにしていた。下手から灯が小走りで登場。


灯「進兄~~!!ピース見つけて来たよ」


進「おぉ、灯ちゃん見つけて来たんだ」


灯「……?『』ってことは進兄もピース見つけたんだ」


進「うん」


上手から小声でぶつぶつと独り言を話す彰が登場。


進「おや?あそこにいるのは彰君ではないか」


灯「あ、本当だ!あーきーらーくん!」


と言いながら灯は彰に近づく。彰の隣に立って灯は続けて少し自慢げに話し掛ける。


灯「ピース見つかった?あたしと進兄は1つずつ見つけたんだけど……」


彰「すみません。1つも見つけていないです」


灯は進のもとへ駆け寄る。


灯「進兄~~、聞いた~~」


灯と進は彰の方を見ながらニヤニヤと悪い顔をして、コソコソと少し小さい声かつ、彰に聞こえるくらいの大きさで内緒話を始める。


進「聞きましたとも、奥さん。いやですわねぇ、最近の若い者は」


灯「そうですわねぇ~」


彰「い、いいじゃですか。そんな、いかにも僕が悪いことをしたような目で内緒話しないで下さい!寧ろお二人の方が悪い顔してますからね。……その代わりと言っては何ですが。進さん、ちょっと––––」


彰は手招きをして進を呼び寄せて進にだけ手紙を見せる。

<少し明るいような暗いような曲が流れる>


進「この手紙なんだい?」


彰「今まで拾った手紙と似たような物です。手紙の内容を読んだんですけど、その内容が……」


148cmくらいの身長の低い灯には進と彰のやり取りが背中だけしか見えない。その背後から声をかける。


灯「ねぇ、何の話をしているの?」


進は手紙を開き小声で読み上げる。


 『お前達の仲間の亮はにいる。今から10分以内に来い。もし来なければ亮の命はないと思え』


進「……何?この脅迫めいた内容」


灯「ねぇ。だから何の話をしているのよ!」


灯の声を無視したまま彰と進は続ける。少しづつイライラを募らせる灯。


彰「もしかしてですが、進さん。その手紙……亮のいる場所と最後のピースがある場所だと思います」


進「うん、そうかも知れないね」


灯は2人の間から割って入る。


灯「だーかーらー!何の話をしているのよ!!もぅ!!(怒り)」


彰「進さん、早く亮の所に行きましょう」


進「そうだね。じゃあ、あっちの方から行こうか」


彰「はい!」


進と彰は灯を置いて、わざわざ灯の目の前を通り上手へはける。


灯「もぅ~~~。(さらに怒る)いつまであたしを無視するのよ!!進兄、彰君のばぁかぁ~~~~っつ」


嘆くように叫び、進と彰と同じ上手へ走る。

<少し明るいような暗いような曲がフェードアウト>


第8幕(完)

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