第13話 Day4 Pack Leaders(群れの長達)

Day4 朝9時 ちょいすぎ 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


うつ伏せになった状態

フード越しに首筋に生暖かい吐息が触れる


どっから来たんだ?


左に身体を向ける

上にし掛かっている獣は男を押さえつけようと左にバランスをとろうとする

その刹那せつな 右に急激に体を動かし仰向けになる

男を押さえつけていた獣は 一度ジャンプし距離を取る


もう1匹いやがる しかもでかい


次の瞬間 獣は男の首を目掛け大きな牙をむく

とっさに左手で銃身 右手でComb いわゆるストックの部分を掴み噛みつきを防ぐ

獣の口の中にショットガンが横向きで入り 一時的に首は守られた

が 男は直ぐに理解する

獣の噛みつきと獣の体重と勢いでほんの数秒しか守れない事を

現に大きいコヨーテに押し倒されている形になっている

Combを押さえてた左手をスライドさせ 獣の口を直接押す形に

これで1~2秒 更に時間が稼げる

右手でイーグルをホルスターから取り出し 安全装置を外す

そして即トリガーを引く


”ドンドンドン”


獣の腹に向けて撃つ

ただ想定外なのが獣は明らかにダメージが入っているのだが

ショットガンを嚙みなおし さらに顔を近づけてくる

生暖かい息が男の左手と顔にかかる

男は右手を曲げ 角度を変え獣の首を狙い撃つ


”ドンドン”


獣の血が男の左手とショットガンと顔を濡らす

そして獣はたまらず噛みつきを辞める

横からするりと獣の押さえつけから逃れ 上半身を起き上がらせ

止めを刺そうとしたセツナ


庭で2発ライフルの銃弾を受けていたもう1匹が男の首に向かって飛び掛かる

瀕死状態からの最後の攻撃

立ち上がっている状態なら避ける事も出来たであろう

ただ 押さえつけから逃れたばかり いわゆる座っている状態

体をひねって避けるのも無理だ

とっさに男は左腕で首をかばう

前腕部が噛みつかれる

牙が食い込み激しい痛みが男を襲う

その痛みに耐えながら もう1発先ほどの獣の顔に目掛け


”ドン”


命中 


そして 最後の1発を噛みついている顔に目掛けて 


”ドン”


イーグルの7発を撃ち尽くす

噛みついているパックリーダーの目から光が消える

ただ 噛みついている状態は解除されていない


リュックからナイフを取り出し 口から頬にかけ切り込みを入れ

てこの原理でナイフを思いっきり下に引く

噛みつきが解除される


もう1匹の雌のリーダー

イーグルを6発受けた方は死んでいる。。であろう

ただ近づいて確認はしたくない

死んでいる獣に弾丸をぶちこむのは外道のすること

でも時間を取りたくないため、ライフルをもう一発打ち込む


”ターン”


そして まず噛みついていた獣の首にナイフを入れ血抜き

そして もう一匹の首にナイフを入れ血抜き

そして 最後にショットガンで仕留めたやつにも首に切り込みを入れる


よし 勝った

だた勝利の余韻に浸っている時間はない


そして 男は家に向かってダッシュ

兎に角走る

ひたすら走る

家に着いたらリュックや重火器を下ろし

即 家の玄関から風呂場へ

シャワーを流しながら

薬棚をあさ

プリオキサイドとアルコールワイプを取り

まずシャワーで噛まれた左腕を洗浄

即 プリオキサイドを噛まれた痕(あと)に流し込む


男   :「ぐあーーー」


痛い!

凄く痛い!

その傷口に沁みこむ消毒液!

そして噛まれた痕からプリオキサイドの白い泡

そしてそれが血が混ざり赤い泡に変わっていく

アルコールワイプで腕を撫でながら

ひたすらシャワーで噛まれた後を洗う


犬や猫に噛まれた場合 即 傷口を洗浄し

プリオキサイド、アルコール、または ティーツリーオイル

消毒液で傷口を洗う必要がある

もしこれをおこたったら、瞬く間に雑菌が体を侵食し、紫色になり

数週間 泣く嵌めになる

ただでさえペットの噛みつきで ここまで大騒ぎになる


ならそれが野良なら?

ならそれが野生なら?

ならそれがコヨーテなら?

ならそれがコヨーテのリーダー格なら?

ならそれが異世界の生物なら?


数分間 お湯、プリオキサイド、お湯。プリオキサイド を繰り返す

そして風呂場に置いてある綿棒 これにプリオキサイドをしみこませ

牙で噛まれた傷口に中に入れ えぐる様にして傷口の表面にしみこませるよう

少しでも バイ菌 雑菌が体から無くなるように


途轍もなく沁みる そして痛い

それでも出来るだけ丁寧に拭いていく

痛い!

途轍もなく痛い!


男   :「あーーーーーー あ”ーーーーーー うあーーーーーー」


でも やらなければならない!

相変わらず血は止まらない

そして綿棒が赤くなっていく

そして排水溝にながれるシャワーの赤くなった水

それでも繰り返し繰り返し行っていく


相変わらず噛まれた傷口から血が止まらない

止めようと思えばWondSealという粉を使えば止まる

ただ それは傷口に強引に蓋をするような物

後でもう一度 消毒液で傷口を洗いたい為

薬棚にある 抗生物質の軟膏を大き目のバンドエイドの真ん中に塗り

シャワーで腕を洗い アルコールワイプで強引に水滴を取り

塗れていて血が出ている傷痕にバンドエイドを押さえつけ

そこを包帯で強引にまいていく

それを二カ所の牙で噛まれた場所にやる



本来ならゆっくりコーヒーを飲んでいる時間

とんでもない事になっている


薬棚から痛み止めを取り出し 4錠のみこむ


男   :「はーー はーー はーー」


まずいくつかやる事がある


1つ目は獲物の回収

大型2対と小型3体、皮を剥いで内臓を取り出し肉を回収したい


2つ目は噛まれたショットガンのメンテナンス

ほんの少しの銃身のゆがみでまったく当たらなくなる事は経験している


そして3つ目

4匹で家の周りに来ていた群

何故5匹目は家に来なかったのか?

考えられるのは何かを守っている為

そしてその何か?は 簡単に想像できる

多分 巣があるのであろう


シャワーは出しっぱなし、そこに来ていた服を脱ぎ

洗剤を血が付いている部分にかける


違う服を着て 流しから水をだし

コップ2杯分 飲んでから

戦利品を回収しに行く

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