新世界創造
@plateau
第0章
現実世界の終焉
ある街の片隅。
路地裏の掃き溜め。
かつて少女だったものが、静かに、そしてかろうじて残された息を引き取ろうとしていた。
その双眸には何も映らない。降りしきる雨が彼女の体を打ちつけているはずだが、その冷たさすらもう感じることはできなかった。
ただひとつ、彼女をこの瞬間まで生かし続けたものがある。それは、自らの身に降りかかった不幸への深い恨み。
それだけが、彼女のか細い呼吸をかすかなものながらも続けさせていたのだった。
妬ましい。悔しい。辛い――。
そんな感情は、もう涙と共にとうに枯れ果てたと思っていた。
だが、死を目前にした今、その感情は再び静かに、しかし確かに彼女の胸の奥からふつふつと湧き上がってきた。
それは不条理への怒り、無力さへの絶望、そして何より、この世の全てに対する深い恨みだった。
ああ…世界よ、神よ。
私など、あなたたちの目には映らぬのだろう。
私という存在が、この空虚な世界に消え去っていくのは、どうしようもなく避けられないのはわかる。
だが、この胸に渦巻く恨みは、それだけは消えることはないだろう。
たとえ私が塵と化そうとも、この心の深奥に燃え続けるこの思いだけは…永遠に消えぬ火だ。
神よ。貴方に初めて祈ろう。
神よ。最期に祈ろう。
永劫の呪いを。
どうか貴方と世界に不幸あれ。
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