アングレカムの恋(恋愛)

「この花束を受け取ってください」

「とっても綺麗ね…ありがとう……」


 

 私と貴方はね、生まれる前から赤い糸で結ばれてるの

 

 私は貴方の為に生まれて……

 貴方は私の為に生まれて……


 例えどちらかの手が離れてしまっても

 直ぐに追い掛けて、また手を繋ぎましょう


 悪魔や天使が私たちを引き裂こうとしても

 貴方と二人なら私、神だって怖くないわ


 だからね……

「ずっと一緒よ?」


 

 貴方との出逢いは、小さい頃に私が虐められてるのを

 貴方が助けてくれたのがキッカケだったよね


 私と背丈の変わらない同い年の貴方

 そんな貴方が勇敢に私を守ってくれた時の胸の高鳴りは

 1,000年経った今でも覚えてるのよ?


 顔が変わって、名前が変わる

 別人とも思える様な見た目でも

 魂は変わらないまま


 アングレカムの祝福を受けた私たちは

 生まれ変わる度にまた、愛し合うの

 

 貴方がどこにいこうとも、絶対に

「逃がさないわ」

 

 だって、貴方が居るべきなのは私の隣なんだもの



 貴方はとっても優しくて

 貴方はとっても明るくて

 何度生まれ変わったって

 貴方の良さは変わらなくって……


 そんな愛おしいままの貴方だから

 今の私も、貴方にとって、愛おしいままで在りたくて…


 でもね

 私だけは違う30人の貴方を覚えているのよ?

 なんてコトバで貴方を困らせるのは嫌だわ


 それにね

 貴方が私を覚えてなくても

 貴方が私を選んでくれること

 これが死んでしまうぐらい嬉しくて……

 世界で一番幸せだわ!

 


 貴方は何故かいつも短命で弱々しいけれど

 私を真っ直ぐに見つめる目はいつも、力強かった


 人が何かを願う時

 何かを代償として失うの

 そんなことに気づいたのは偶然だったけど

 貴方さえ居てくれたら他に望む事なんてないわ


 そう……

 貴方と私は鮮血の様に赤く綺麗な糸で結ばれてるの


 暗く昏いそんな世界だとしても

 二人で輪廻の輪に飛び込めば大丈夫


 私は私で貴方は貴方

 貴方を愛した私と運命を呪った貴方


 だからね……

「アングレカムの花束をありがとう」

「俺達、永遠に一緒だよ」

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